中でもレアル・ソシエダは久保を特に高く評価しており、レアル・マドリーへ復帰が濃厚なマルティン・ウーデゴールの代わりとして求めていると見られる。スペイン人知将イマノル・アルグアシルに率いられたチームはコロナ禍の中断明け以降は大きく調子を落としてしまったものの、非常に整備されたボール保持と規律ある戦いで多くの称賛を集めた。

 ラ・リーガの中でも完成度だけを見ればトップクラスであり、一貫した戦いで見事ヨーロッパリーグ出場権を獲得。若手選手を臆さず起用するアルグアシルの下であれば、久保やレアル・マドリーが望むすべてを叶えられる可能性は非常に高い。言葉の問題もなく、最良の移籍先となるのは間違いないだろう。

 とはいえ、プレシーズンではまずレアル・マドリーへの合流が確実であり、去就に関しては再びジダン監督が判断することになりそうだ。つまり、選手としても指揮官としても世界の頂点を知る男を満足させることができれば、来季は白いユニフォームを身に纏ってサンティアゴ・ベルナベウでまばゆい輝きを放っているかもしれない。

 こういったあらゆる考察がスペイン内外で広がっているだけでも、久保がいかに大きな足跡を残したか、いかに突出した存在であるか、いかにフットボールファンを楽しませてきたかを物語っている。

「僕の夢は偉大な選手になって、マドリーで偉大なことを成し遂げることにあります。もちろん日本代表でも、ですね」。こう語る19歳の未来に、期待は膨らむばかりだ。(文・三上凌平)