だが、PSGなどのメガクラブ、そして今季ラ・リーガ王座を奪還したレアル・マドリーという世界最高のクラブでは、出場機会が限定的なものになることは間違いない。2列目で起用可能な選手に限っても、エデン・アザール、ヴィニシウス・ジュニオール、マルコ・アセンシオ、イスコ、ロドリゴ、ルーカス・バスケス、ギャレス・ベイルにハメス・ロドリゲス(彼ら2人は移籍濃厚だが)、そしてフェデ・バルベルデにルカ・モドリッチ……。挙げたらきりがないほどスタープレイヤーが揃っているのだ。世界最高の競争が待っているだけでなく、ここにEU圏外枠(登録は3人まで)も絡んでくる。

 これは、シーズン中に『as』のインタビューでマジョルカでの日々を「特に試合で多くを学べています。試合では攻守両面でより多くを勉強できます。自分が成長する上で大きな助けとなっています」と語った久保本人の意思と合致しない。そもそも、昨夏ジネディーヌ・ジダン監督は残留を願ったものの、出場機会を望んで期限付き移籍を選択したのは彼だ。若くして自分に絶対的な自信を持つ久保だが、成長のために何が必要かはっきりと見えている。恐ろしいほどまでに冷静に自分を見つめる19歳は、「レアル・マドリーで居場所を確保するために」継続的な実戦経験を望んでいる。

 そしてそれは、レアル・マドリー側の意向とも一致する。『マルカ』紙は、久保が来季もレンタルで新天地を求めることになると複数回にわたって伝えてきた。今季の活躍と成長を高く評価しつつ、欧州カップ戦を経験させるため、ラ・リーガで出場権を得たクラブへ貸し出すことを最優先に進めていると見られる。

 関係上バルセロナへの移籍はあり得ないし(もし実現すればルイス・フィーゴ並みの衝撃となるだろう)、アトレティコやセビージャなどタイトルを争うライバルクラブへのレンタルは現実的ではない。つまり、チャンピオンズリーグではなくヨーロッパリーグ出場権を得たクラブが最も可能性が高い。するとビジャレアル、レアル・ソシエダ、グラナダの3クラブが有力な候補となりそうだ。

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