今季から楽天でプレーする涌井秀章 (c)朝日新聞社
今季から楽天でプレーする涌井秀章 (c)朝日新聞社

 プロ野球のペナントレースも開幕から約1カ月が経過し、徐々に今シーズンのパワーバランスが見えつつある。しかし開幕ダッシュに成功した球団でも、投手、野手ともに決して万全と言える状況ではない。そこで今回は12球団が抱える不安要素、ネガティブな要因を洗い出してみたいと思う。まずはパ・リーグの6球団からだ。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

・楽天:長いイニングを投げられる先発投手不足

昨年オフには12球団でもトップと言える大型補強を行い、得点、失点、チーム打率、チーム防御率いずれもリーグトップとここまでは極めて順調に見えるが、細かい部分では不安要素も存在している。特に課題となるのが先発投手陣だ。昨年故障に苦しんだ則本昂大が復活したのは大きいが、もう一人のエース格である岸孝之はもうひとつ調子が上がっていない。

涌井秀章も勝ちはついているものの、打線に助けられた印象が強い。先発に転向した松井裕樹も結果を残せずに二軍調整が続いている。順調に見えるリリーフ陣ではJ.T.シャギワ、牧田和久、酒居知史の登板過多も気になるところだ。中継ぎが疲れてきた時に、先発で長いイニングを安定して投げられる投手が少ないことが響いてくる可能性は高いだろう。

・ソフトバンク:リリーフの登板過多と柳田頼みの打線

開幕直後は出遅れながらも徐々に浮上して楽天を追う一番手となっているが、ここ数年気になるのが中継ぎ陣の起用法だ。セットアッパーとして抜群の安定感を見せているモイネロだが全試合の半数以上に登板しており、高橋礼も近しい数の登板を重ねている。岩嵜翔、加治屋蓮、甲斐野央などが故障で離脱、もしくは成績を大きく落としているだけに、同じ轍を踏まないかが心配である。

野手では柳田悠岐への依存度の高さが気になるところ。新加入のバレンティンが不振で、ベテランの松田宣浩も少し上向いてきたものの中軸を任せるのは苦しくなっている。グラシアル、デスパイネの二人が今後合流するのはプラス材料だが、来日しても調整に時間がかかるようだと、柳田へのマークは更に厳しくなりそうだ。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
西武はドラ1投手トリオが命運握る?