広瀬香美(C)朝日新聞社
広瀬香美(C)朝日新聞社
浜崎あゆみの「M」を熱唱する広瀬香美。歌い切ったあと床に寝転んでしまう(広瀬香美公式YouTubeチャンネルより)
浜崎あゆみの「M」を熱唱する広瀬香美。歌い切ったあと床に寝転んでしまう(広瀬香美公式YouTubeチャンネルより)

「広瀬香美のYouTubeチャンネルがヤバい」

【写真】あゆの「M」を熱唱し昇天する広瀬香美はこちら

 少し前にそんな噂を耳にして、実際に動画を見てみて驚いた。米津玄師の『Lemon』などの有名な曲を広瀬が全力でピアノで弾き語りしていた。その圧倒的な技術と熱量はウェブ上に数ある「歌ってみた」動画の中でも異彩を放っているのだが、それだけではない。

 歌っている途中で興奮してくると手の甲や足でもピアノを弾き始め、歌い疲れると床にドッと倒れ込む。歌が上手いというだけでなく気持ちが入っているのが伝わってくる。広瀬香美という一個人が演奏しているとか歌っているというよりも、広瀬香美という「楽器」がそのまま鳴っているような状態だった。

 YouTubeをはじめとするウェブサービスが玄人と素人の壁を破り、ときには素人が玄人以上の影響力を持てる時代になったわけだが、そんな状況だからこそ、玄人には玄人の凄味があるというのを改めて見せつけられることがある。広瀬香美のYouTube動画はまさにそんな感じだった。『ロマンスの神様』『ゲレンデがとけるほど恋したい』をはじめとするヒット曲を多数手がけ、J-POPの歴史に名を残した巨人が、全身全霊を込めて弾き語るのはこんなに面白いのか、と。

 そんなYouTube動画が評判になった影響で、ここ最近の広瀬はいくつかのテレビ番組に出演していた。代表的なものは、7月3日放送の『ダウンタウンなう』と7月12日放送の『しくじり先生 俺みたいになるな!!特別授業SP』だった。

『ダウンタウンなう』では、ダウンタウン、坂上忍らとトークを展開した。子供の頃から絶対音感を持っていた彼女には独特の感性があり、路線バスのブレーキ音に魅了されてバスに対して初めての恋心を抱いたことなどが面白おかしく語られた。

『しくじり先生』では自身の半生を振り返りながら、作曲家になりたかったはずなのになぜか歌手として有名になってしまい、密かに思い悩んでいたことを赤裸々に告白していた。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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気になるのは広瀬が歌っているときの出演者のリアクション