ドラムメーカーが作った「コロナ対策商品」が異例のヒットに 担当者が語った楽器メーカーとしての“挑戦” (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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ドラムメーカーが作った「コロナ対策商品」が異例のヒットに 担当者が語った楽器メーカーとしての“挑戦”

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作田裕史dot.
パール社が開発したペダル式消毒液スタンド(写真提供/パール社)

パール社が開発したペダル式消毒液スタンド(写真提供/パール社)

ドラムセットの一番左側にある「ハイハットスタンド」が商品に変貌した(写真提供/パール社)

ドラムセットの一番左側にある「ハイハットスタンド」が商品に変貌した(写真提供/パール社)

開発に携わった大友さん。撮影のため、一時的にマスクを外してもらった(撮影/作田裕史)

開発に携わった大友さん。撮影のため、一時的にマスクを外してもらった(撮影/作田裕史)

 まさに発想の転換だった。ドラム製造を主とする楽器メーカーが「消毒液スタンド」を製品化したところ、異例のヒット商品となった。なぜドラムメーカーが消毒液? 担当者が制作秘話を語った。

【写真】このドラム機材が「消毒液スタンド」に変貌した!

*  *  *
 その会社は千葉県八千代市に本社を置く「パール楽器製造」。

「Pearl」ブランドで知られるドラムセットは世界の名だたるドラマーが愛用している。そのパール社が開発した「ペダル式消毒液スタンド」は、足でペダルを踏むことでボトルに触れることなく消毒液を出すことができる商品だ。本来はペダルを踏んでシンバルを鳴らす「ハイハット」と呼ばれるスタンドを改良し、独自の消毒液スタンドに様変わりさせた。

「苦境にある音楽業界に貢献したいという思いで作った商品でしたが、まさかここまでの反響があるとは予想外でした」

 パール楽器製造企画課長の大友正彦さんはこう話す。6月1日に限定生産で予約を受け付けたが、申し込みが殺到。同月4日には「継続販売」を決め、通常の生産、販売体制に軌道修正した。

 大友さんがこの商品の着想を得たのは、5月中旬。ある楽器店がハイハットを改造して消毒液のスタンドとして活用している様子をSNSにアップしていた。楽器店では、客が実際に楽器を触って質感を確かめたり、試奏したりすることが欠かせない。そのため、手の消毒は客、従業員ともに徹底する必要がある。さらに、SNSでは消毒液のポンプ部分を手で触ることに抵抗があると多くの人が不満の声を上げていた。

「専門メーカーである我々の技術が社会の役に立てるかもしれない」

 大友さんはそう考え、役員も出席する企画会議に提案すると、すぐにゴーサインが出た。当時はまだ緊急事態宣言が発令中で、自粛解除は6月1日とみられていた。それまでの商品化を目指し、短期間で設計から部品の加工、調整まで急ピッチで進めた。

 消毒液のボトルをプッシュする部分は棒状ではなくプレートにしたほうがいいのではないか、さまざまな形状の消毒液ボトルに対応するには可動域はどこまで広げるべきか、ペダルを踏み込んだ強さによって消毒液が出過ぎないようにするにはどうすればいいか。解決すべき課題は山積みだったという。

「他部署のメンバーも交えて議論し、トライ&エラーを繰り返したことで、なんとか期日までに完成できました。何百回もペダルを踏んで消毒液の出方を試したのはいい思い出です」


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