攻守両面で力を発揮する必要があるMFは4人。1人目は、世界への扉を力強くこじ開けた稀代のフロントランナー・中田英寿を選んだ。相手の懐を突くキラーパス、ローマをスクデット獲得に導いた強烈なミドルシュート、ゲーム全体の流れを読む優れたインテリジェンスなど、傑出した能力を数多く持っていたが、その中でも守備自慢のカルチョの国でトップ下を張れたのは強靭なフィジカルがあったからこそ。体格的には大きくなかったが、体を投げ出して止めに来たDFを逆に弾き返すシーンを何度も見た。

 どうしても外国人選手に当たり負けしてしまう傾向がある日本人選手だが、中田は「世界最強リーグ」と呼ばれていた当時のイタリア・セリエAでも、屈強な外国人選手を凌駕するほどのフィジカルを誇った。中田の現役時代の映像を今見ても、世界で戦うためにはいかに“体の強さ”が必要なのかを痛感させられる。

 2人目は稲本潤一だ。天性のボディーバランスを持ち、激しいチェイシングからボールを奪取し、そのまま前線に持ち上がるプレーは日本人離れした力強さがあった。かつて日本代表のサイドバックとして活躍した都並敏史は、18歳時の稲本(当時G大阪)との“デュエル”に敗れて、引退を決意したというエピソードもある。2001年に行われたイタリア代表との親善試合で世界的DFカンナバーロをお尻でぶっ飛ばして柳沢敦のゴールをアシストしたシーンも印象的だ。

 世界のケイスケ・ホンダこと、本田圭佑もフィジカル自慢の選手だ。運動量は決して多くないが、相手を跳ね除けながらドリブルし、相手に囲まれながらもボールをキープする姿は実に力強く、代名詞である強烈な無回転キックも強い筋力があってこそだ。本田とは逆に、運動量をフィジカルと解釈した場合、最後の4人目としてサガン鳥栖の35歳ボランチ、高橋義希を選びたい。代表とは無縁だが、運動量が非常に多く、Jリーグのトラッキングデータで2016年、17年と2年連続で年間走行距離1位を記録。特に2017年は試合別の走行距離上位10傑中7試合を高橋が記録した。

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FWの顔ぶれは?