その後、2人は79年に西武でチームメートになり、20年後、阪神の監督に就任した野村氏は、前出のとおり、伊原氏をコーチに迎えたが、わずか1シーズンでコンビ解消……。野村氏は「彼は自分で手柄をたてたい、自分が注目されたいという思いばかりが強いように、私には感じられた」(「プロ野球奇人変人列伝」詩想社)と批判し、伊原氏も14歳年長の野村氏に対し、一歩も引かず舌戦を挑みつづけた。

 野村氏が本心から伊原氏をこき下ろしていたのか、それとも愛情の裏返し的な部分もあったのか、今となっては知る由もないが、この“エール交換”の結果、ルンバは「ヘボ采配」を意味する隠語になった。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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