アンジャッシュ渡部と同じ事務所所属のおぎやはぎ(C)朝日新聞社
アンジャッシュ渡部と同じ事務所所属のおぎやはぎ(C)朝日新聞社

 芸能人の不倫報道はいまや珍しくも何ともないが、報道されるスキャンダルの内容が世に出る前に、芸能人が自らメディア出演の自粛を申し入れる「先行自粛」というのは珍しい。

 アンジャッシュの渡部建は、週刊誌による自身の不倫報道に対して、先行自粛という異例の対応を行った。それがさまざまな憶測を呼び、世間をますます騒がせる事態に発展した。

 この手の騒動が起こると、情報番組やワイドショーではさまざまなコメンテーターが意見を述べることになる。その大半は「不倫は許されない」という意見か、「不倫は家庭内の問題だから他人があれこれ口を挟むものではない」という意見だ。ほとんどのコメンテーターの主張はこの2つに集約される。

 しかし、そのどちらでもないコメントを残して目立っていたのが、同じ事務所の後輩として渡部のことをよく知るおぎやはぎの2人だ。彼らは6月10日放送の『バイキング』(フジテレビ系)で渡部のことに触れた。

 矢作兼は、全く心のこもらない棒読み口調で「あんな清廉潔白な男がこんなことになるなんて意外ですよね」と言って、笑顔を浮かべた。

 一方の小木博明も「渡部さんがそんなに好感度が高いっていうのも知らなかったし。(スポーツ紙の)記事を見て、イケてる中年キャラって(書いてある)。あ、この人イケてたんだって、俺、初めて知って。ダサい人だと思ってたんですけど」と一刀両断。矢作もその言葉に深くうなずきながら「そうなんだよな。世間と佐々木希ちゃんだけなんだよな、渡部さんを信用してるのは」とダメ押しの一言。付き合いの長い先輩芸人を容赦なくイジり倒していた。

 渡部の件に限らず、コメンテーターとしてのおぎやはぎはいつもこんな調子だ。大上段から正義を唱えるわけでもなければ、無理に笑いを取りに行くわけでもない。ただ思ったことを淡々と述べる。無難な発言をして器用に立ち回る人が多いコメンテーターの中では、そんな2人の率直さが物珍しく見える。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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おぎやはぎの発言が炎上しないのはナゼ?