いよいよ学校が再開。子どものSOSを見逃さないでほしい※写真はイメージ(c)Getty Images
いよいよ学校が再開。子どものSOSを見逃さないでほしい※写真はイメージ(c)Getty Images

 新型コロナウイルス感染拡大に伴って休校中だった学校が、6月上旬から本格的に再開します。3カ月におよぶ休校が明けて喜ぶ子どもも多く、ホッとしている親も多いかと思います。その一方で、学校再開のタイミングでこそ「今から休息が必要な子」、つまり学校を休む必要がある子もいるのです。不登校新聞の編集長、石井志昂さんは「大人が思っている以上に子どもは複雑な心境を抱えています」と言います。学校再開に向けて周囲の大人が気をつけたいポイントをまとめてみました。

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■今どうしても休息が必要な子とは

 学校再開がした今から学校を休むなんて、親は「勘弁してくれ」と思うはずです。在宅勤務であろうと、出勤であろうと、子どもの学校が始まらないと思うように働けない親は多いでしょう。家事だってままなりません。そうした仕事や家事の都合に加え、親が心配するのは「子どもの休みグセ・サボりグセ」。子どもは長い休みの間、ろくに勉強もせず、生活リズムも崩れてしまった、だから「学校を休んでラクをしたいのだろう」と大人は思うのです。親としては、そんな休みグセを許すわけにはいかないと思うのは当然かもしれません。

 ところが、子育てにくわしい心療内科医・明橋大二さんは、いま強い不安を感じている子どもが多いと指摘しています。 

 特にコロナ感染による芸能人の死亡が報道された後などには、「自分の身内も亡くなるのでは」と不安を募らせた子どもが多くなったそうです。「おじいちゃんが死んじゃうの」と泣きながら親に訴えた子どももいたそうです。あるいは感染予防のために手洗いの重要性が指摘されたことで、何時間も手洗いが止まらないという子どももいたそうです。

 学校は休校をしていましたが、この間、子どもは心から休めていたわけではありません。ウイルスという見えない存在と子どもなりに向き合い、緊張の糸が張り続けてきた3カ月間だったわけです。

 緊急事態宣言が明けた今、緊張から一気に解放され、どっと疲れが出てくる子どもがいます。受験や学校行事に向けてがんばってきた子どもが、山場を越えたとき、少しお休みするのと同じ構図です。

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石井志昂

石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

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