■親へのアドバイス

 最後に、子どもと最も密に接する親の方へのアドバイスを。学校が再開した今、子どもが安心してすごすための工夫を2点、紹介したいと思います。 

 1点目のポイントは「注意より雑談」。

 忙しいと親子の会話は親から子どもに対する「注意だけ」だけになりがちです。「手洗いはしたの?」「宿題をしなさい」など、子どもには言うべきことがたくさんあります。しかし、子どもは、再開した学校でも緊張した状態を送っています。緊張感をほぐすためにも「雑談」の時間は大切なものです。

 2点目のポイントは、「たまには放っておく」。

 ステイホーム中、多くの親はわが子に対して、ムカつく場面が多々あったと思います。子どもは勉強もせず、ゴロゴロしながらスマホをいじる。その姿にカチンとくるとは思いますが、子どもなりに不安と戦っているのです。学校が再開しても、コロナ禍の前にすぐもどるわけではありません。以前よりは家で過ごす時間が増えますので、あえて子どもから目を離す時間をつくると、親も子も気持ちが楽になります。乳幼児でなければ、1日のうち1時間でも、意識的に目をそらす時間をつくってみてください。

 最後になりましたが、親にとっても今は先が見えず不安な時期です。でも、子どもが大好きなのは親の笑顔です。親の笑顔に子どもは安心し癒やされます。どんな専門家も医師も、親の笑顔をつくることはできません。親の方には笑顔になって、子どもを癒やし、子どもの心の防波堤になってもらいたいと思っています。(文/石井志昂)

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石井志昂

石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

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