例年は5月中旬に5日間開催し、10万人ほどを集めるが、4回目となることしは規模を大きくしてゴールデンウイークの7日間開催する予定だった。しかし、コロナ禍により4月5日に中止が決定する。

 4月7日に大阪を含む7都府県に緊急事態宣言が発令されると、オンライン開催へと一気にかじを切ることになった。

「今年は連休に行う予定で東京のお客さまからのお問い合わせもあったため、もともと一部の商品をオンラインでも販売してみようという計画がありました。ですので、何をすべきかはわかっていました」と話すのは、阪急うめだ本店マーケティング1部の植田優理さん。

 リアル開催で予定していた茶葉ブランドの大半や、スコーンなどお茶に合う食べ物も一部含めて、50以上のブランドが参加。長く楽しめるようにと、開催期間を5月13日から6月23日までにした。

「初日の反響が思いのほかすごく、私たちも驚いています。1人あたりの平均購入額が昨年の3倍。リアル開催で見込んでいた初日の売り上げを、オンラインの初日でもほぼ達成しました。初日で完売した商品もあります」

 事前にはダイレクトメールやホームページで告知するくらいだったが、SNS、特にツイッターで情報が拡散され、全国のお茶好きに認知されたようだ。今回は送料が300円と手頃なこともあり、東京をはじめ遠方の利用者が大幅に増えた。

「リアル開催のように、ブランドの説明や、試飲をしないと買っていただけないのではと思っていた商品も売れています。家にいて、試してみたいという気持ちがあるのかもしれません」

 阪急うめだ本店はもともと店頭での販売を得意とし、オンライン化が進んでいるほうではなかったというが、今回を機に変化してきているようだ。

「お客様さまへのアプローチの幅が広がりますから、これからはリアルとオンラインの両方で行うのが理想です。また、新型コロナの影響で、多くの人がオンラインに対してポジティブになってきた気がするので、今後はセミナーなど、百貨店ならではの体験をオンラインでも提案していけたら」と植田さん。

 歴史ある町と百貨店が挑戦した、祭典のオンライン化。新しい時代を照らす一筋の光といえるのかもしれない。(文:カスタム出版部)