そうした30年に及ぶ韓国との縁を振り返って、私自身の実感からいえば、以前よりも日韓関係はこじれて悪くなっているとしか思えません。今、日韓関係について、日本人と韓国人がお互いにフラットに話題にできる雰囲気は全くありませんよね。

 国際交流は楽しいことばかりではないし、シビアな側面もある。国と国との間に横たわる課題や問題の解決なら、なおさらそうでしょう。これまでのブームの中で、誰もそういう側面を見つめてこなかったんじゃないか、誰も説明してこなかったんじゃないか、と思うのです。

――今後、日韓関係は改善するのでしょうか。

水野:どうでしょうか。今はコロナ禍で両国ともに日韓関係どころではないという感じですが、何も解決していないですよね。いろんな人に「どうなりますか」とよく聞かれますが、「神のみぞ知る」としか言いようがない。日韓関係の改善は、人知の及ぶところではないのです。

 私が留学した30年前には、日本人のほとんどは韓国に何の興味もなく、韓国語を勉強しているというと周囲から「ハングルって何?」と聞かれるような状態でしたから、それと今を比べたら、文化交流はないよりはあった方がいいかもしれません。ただ、私自身は、今の韓流・K-POPブームには過度な期待はしていないのです。

(聞き手・構成/AERA dot.編集部・鎌田倫子)