対談は、株式会社ケアネットと株式会社メディカルノートの共同企画で行われた。YouTubeで対談のアーカイブが公開されている。https://youtu.be/t7t_BlKvwnk
対談は、株式会社ケアネットと株式会社メディカルノートの共同企画で行われた。YouTubeで対談のアーカイブが公開されている。https://youtu.be/t7t_BlKvwnk

 ふだん穏やかな人が怒ったり、その人らしくないことをしたり……。『仮病の見抜きかた」などの著書がある総合内科医・國松淳和医師(南多摩病院)は、コロナ禍による環境の変化で精神状態が変わっている人の存在を指摘する。一方、「医者のなかにも正義モンスターに変質している人がいる」と話すのは、ツイッターなどで「病理医ヤンデル」として発信を続ける市原真医師(札幌厚生病院)だ。4月28日、國松医師と市原医師のWEB対談「2人の奇才ドクターが“コロナ現象”を読み解き処方箋を示す!」が行われた。コロナ時代、いま人々に何が起きているのか――。

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「原因不明の病気の診断を得意とし、ユニークな医学書を立て続けに出版している総合内科医」「ツイッターフォロワー11万人超の“病理医ヤンデル”」とそれぞれ紹介された國松医師と市原医師。対談は、國松医師によるCIAMS (シャムズ)<COVID-19/Coronavirus-induced altered mental status>という概念をもとに展開された。

 CIAMSは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、人々が環境の変化に適応できず、精神状態が知らず知らずのうちに変わってしまっている現象のことを指す。

「たとえば、ふだん穏やかな患者さんが受付で怒ったり、診察室で泣き出したり、急にその人らしくないことをしてしまうというのがCIAMS。ふだんと比べて、というところがポイントです。これは医者ではなく、ふだん周りにいる人のほうが気づく変化です」(國松医師)

 周囲の人のCIAMSに気づくために、國松医師は会話の重要性を指摘する。そしてとくに遠方の人とのコミュニケーションを可能にするSNSを「コロナ前に神様がくれたツール」と紹介した。

 市原医師は対話ができるツールの効用について同意する一方、SNSを不特定多数に向けて発信するツールとして用いる人々については、注意を促した。

「社会が不安な時に、不特定多数に向けて何かを投げることの危険性もあります。僕のイメージでは、一つの大きな炎上している塊にボールを投げると、燃えたボールが返ってきてしまう。対話にならないんです。だからCIAMS状態の人が不特定多数にボールを投げてはいけないんですよ。これに気づかない人は、SNSが過度に煽情的になったり攻撃的になったり、変貌したと思ってしまうのかもしれません」(市原医師)

 コロナ禍での過ごし方として、國松医師は「いつもと変わらないこと」が重要だと説く。

「私のところに来る患者さんからすると、『國松先生はいつもと変わらない話をする』ということが安心になっている。コロナ禍でも全然ふだんと変わらないな、という人を見つけてください。そのような人がとても安定を生みます。軸を持っている人は大切にしたほうがいい」(國松医師)

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