現チームでは、西武からFA加入した野上亮磨がピンチだ。11勝を挙げた翌年に巨人に加入し、初年度の2018年は開幕ローテ入りも果たしたが、次第に不安定なピッチングが目立って二軍落ちし、その後は中継ぎに配置転換。1年目を25試合(先発9試合)で4勝4敗1ホールド、防御率4.79で終えると、2年目の昨季も13試合(先発1試合)で1勝2敗3ホールド1セーブ、防御率3.50と不満の残る数字だった。昨年10月にはアキレス腱断裂の大ケガを負い、総額4億5000万円での3年契約の最終年となる今季は、リハビリからのスタートとなっている。

 今季が巨人移籍4年目となる陽岱鋼も正念場だろう。攻守に華のあるプレーが魅力の台湾出身のスター選手で、推定で5年総額15億円と言われる大型契約を結んでいるが、加入2年間はケガでの長期離脱の影響などが響いて2017年、18年ともに87試合の出場。昨季は出場110試合も、スタメンは左投手の時に限られ、代打での出番が主だった。パーラが加入して若手が台頭する中、今季はさらなる出番減が予想され、春季キャンプでは一塁守備にも就いたが、ハッキリ言って「居場所がない」というのが正直なところだ。

 その他、原監督の復帰とともに8年ぶりに日本球界復帰を果たした岩隈久志は、コンディションが一向に上がらず。8月に2軍でNPB復帰後初登板を果たしたが、登板2試合のみで1軍では登板なしのままシーズン終了。炭谷銀仁朗も、控え捕手として貴重な存在であったとは言え、3年総額6億円と言われる年俸に見合っているかどうかは疑問。今季が加入2年目となる中島宏之は、出場43試合で打率.148に終わった昨季からのリベンジに燃え、オープン戦絶好調で開幕スタメン入りも見えていたが、その開幕が延期され、どこまで好調を維持できるか心配になってきた。

 さらにここ数年、外国人は“ハズレ”も多く、投手陣ではヤングマン、クック、野手陣ではセペダ、ゲレーロ、ビヤヌエバと、支払った大金に見合わない成績のまま退団となった選手が多数おり、決して費用対効果が良いとはいえないのが巨人の大型補強の実情だと言える。新型コロナウイルスの影響でペナントレースの開催自体が危ぶまれる異常事態が続く中、ファンの大切さとともに、改めて“お金の使い方”について、見直す時間を設けてはいかがだろうか。