二朗さんは、このすべてをとんでもなく高いレベルで一瞬にして処理しているのだと思う。
そしてどんなシーンもとても的確な演技で先導してくれる。
そしてアドリブ部分でも、
「みきちゃんが思いついたこと好きにやってね、俺、適当に受けるから」
と、すべてを受け止めてくれる。
セリフのやり取りはよく「キャッチボール」に例えられるが、こちらがあっちこっち好き勝手に投げる球を二朗さんが確実にキャッチして、私のグローブに投げ返してくれるのだ。
こんなにラクで楽しいキャッチボールがあろうか。
お芝居はコミュニケーションだ。
二朗さんはコミュニケーション能力が高い。
そして、現場ではスタッフをよく見ている。人間観察をしているのだ。
そういえば、コメディースキルの高い先輩方はみんな客観性があって、鋭く人間観察をしている。
クリエイターでもある二朗さん。
公開延期になってしまった監督作「はるヲうるひと」が、人間の暗い部分を描いたものであるのは意外じゃない。
悲劇と喜劇は背中合わせ。深い悲劇を知ることで、振り子として人生に潜む喜劇にも気付かされるのだ。
底知れぬ魅力を持つ佐藤二朗さん。
このモンスター先輩と共演して得た感動を書き綴りたくて仕方なかったのだけど、まだ撮影は残っているし、コロナ収束後に撮影が再開した時にちょっと気まずいので、どうかこれがご本人に読まれませんように。
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