42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から2年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は、“モンスター”的存在感の俳優・佐藤二朗さんについて。
【佐藤二朗さんにシビレすぎてタッチが変わってしまった唐橋さんのイラストはこちら】
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佐藤二朗さん。
これまで数々のドラマや映画で拝見してきた方。
その唯一無二の存在感を放つ、とてつもなく面白い先輩俳優と、いつかご一緒できる日は来まいかと思っていた。
それが急に、「浦安鉄筋家族」というギャグマンガ原作のドラマでがっつり夫婦役として共演できる機会がおとずれた。
初めましての二朗さんは、とてもとても、真っ当な、普通の感覚を持った方という印象だった。
細やかな気遣いをされる方。他人に対してとてもオープンに接する方。
この先輩の芝居の引き出しは一体どうやって培われてきたのだろうか。とても興味があった。
いざ撮影が始まって、一緒にお芝居してみると、二朗さんのすごさに改めて鳥肌が立った。
どんなセリフも説得力を持って、そこにちょっとした色気と可愛気と哀愁を漂わせて深い状態で成立させる。
それをいとも簡単にやっているように見えるのが職人技。
例えば熟練の職人さんの作業って無駄な動きがまったくなくて、流れるような手さばきで仕上げるので、もはや簡単そうに見えるという、そんな職人技。
そこに至るには、役者だったら作品の空気感を読み取って、全体の中のそのシーンの位置付けと、必要な情報を把握して、共演者と呼吸を合わせ、監督のイメージを読み取って、キャラクターとして反応しなくちゃいけない。
さらにキャラクターとして反応するためには、自分の見え方、身体、呼吸、声を客観的に把握して無意識レベルでコントロールできて、さらに感情をコントロールして、感情と動きが自然に呼応するようにコードを繋げて。
ここまでの状態がベースにあってさらに、ここに自分の引き出しにある面白いイメージを味付けしていく。