巨人の黄金期到来のカギを握るかもしれない吉川尚輝 (c)朝日新聞社
巨人の黄金期到来のカギを握るかもしれない吉川尚輝 (c)朝日新聞社

 黄金期を築くのか、それとも一過性の栄光に終わるのか。その巨人の命運を握るのは、意外にも吉川尚輝かもしれない。

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 昨年、巨人が5年ぶりのリーグ優勝を果たした要因の一つとして、開幕カードで王者・広島を叩いたことが挙げられるが、その原動力となったのが吉川だった。

 3月29日からの開幕3連戦、吉川は1番・二塁手で先発出場。開幕戦の第1打席で二塁内野安打を放つと、試合巧者・広島をかき回し続けた。3戦トータル12打数5安打2打点2犠打1四球の成績はリードオフマンとしては文句なし。広島の開幕ダッシュにストップをかけた役割は大きい。

 吉川はその後も好調を維持して11試合で打率.390、出塁率.432とチームを牽引した。しかし、昨年の1軍出場はそこまでだった。春季キャンプから痛めていた腰痛が悪化し、残りシーズンをリハビリ等に費やすことになって、2軍戦でもわずか7試合の出場に終わったのだ。前年の2018年はレギュラー定着と思った矢先の8月1日のDeNA戦で一塁へのヘッドスライディングを敢行し、左手を骨折。ここまでのプロ野球人生はケガや故障に悩まされてきた。

 吉川は名門・中京高で1年夏から三塁手のレギュラーに定着、その後は主に遊撃手としてプレーした。高校卒業後は入学希望大学の野球部の練習に参加したが、自身のビジョンやスタイルに合わないと感じて中京学院大を選んだ。

「高校時代から野球センスとスピードにはずば抜けたものがあった。身体が大きくなかったため、すぐにプロ入りせずに大学で成長しようと考えたようです。目先のことだけでなく、自分を冷静に分析して長期スパンでの成長を選び、大学も自分の将来に照らし合わせて選んだ。しっかりとした高校生だった印象があります」

 高校時代から吉川を見てきたスポーツライターが語るように、センスだけでなく頭を使って野球に取り組んできた。 中京学院大学4年時には全日本大学野球選手権大会に初出場で初優勝。日米大学野球の日本代表に選ばれるなど、準備を着々と重ねてプロの門戸をたたいた。

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