宮本和知コーチの手腕は本物なのか? (c)朝日新聞社
宮本和知コーチの手腕は本物なのか? (c)朝日新聞社

 昨年、巨人は原辰徳監督の指揮官復帰1年目でセ・リーグの頂点に返り咲いた。4年間優勝から遠ざかっていた巨人はかつて7度のリーグ制覇を成し遂げていた若大将に復活を託したわけだが、再就任の際に話題になったのが元木大介と宮本和知のコーチ入閣だった。

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 当初は“タレントコーチ”の抜擢に懐疑的な声も出たが、両者は原監督の両腕としてチームを支え、見事にその期待に応えた。内野守備兼打撃コーチを任された元木は明るい性格で選手を引っ張り、その手腕が評価されて今年からはヘッドコーチに昇格した。

 一軍投手総合コーチに任命された宮本も、周囲の予想を良い意味で裏切った。日本テレビの情報番組『ズームイン!!サタデー』にレギュラー出演するなど多くのテレビ番組に出ていた宮本は野球ファン以外にも顔が浸透しているほど知名度が高く、そのバックグラウンドを巧みに生かした。巨人関係者は語る。

「タレントコーチと呼ばれることに最初は嫌悪感を抱いていた。でも、途中からは開き直ったようで、どうすれば利用できるかを考えた。マスコミの影響力を使い、選手の気持ちを乗せるのが本当にうまい。そのあたりはよくわかっている」

 “外部”からの評判も高い。「頭の回転が早く、アドリブ力が抜群です。どんな状況でも、気の利いたコメントを残すことができる。マスコミを使って選手にメッセージを送ることもうまい。どこでコメントを出すか、タイミングを図っていたのではないですかね。まさにテレビ向きですよ」と某テレビ局プロデューサーは宮本コーチの情報発信力のうまさを絶賛している。

 注目を浴びる、ということで言えば、プロになる前からその類いまれな“才能”を発揮していた。1984年にドラフト3位で巨人から指名を受けると、いきなり前代未聞のアクシデントを起こす。なんと、入団発表前日にサッカーをやって足首を負傷し、入団会見に出られないという珍事件を巻き起こしたのだ。長年、プロ野球を取材するスポーツライターは今でも忘れられないと苦笑いする。

「投手がサッカーで故障するなんて、聞いたことがない。プロ野球をなめているという印象でした。なかには『大物になるかも』という声もありましたが、野球選手として考えられない。首脳陣への印象も悪かったと思います」

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巨人OBからは慎重な声も