ついつい他人を気にするという性格で苦しみ、反対に他人を気にしない人をうらやましがることはあるでしょう。

 しかし、気にしないタイプの人は一見強く見えますが、逆に他人を気にしなさすぎると暴走したり、たくさんの軋轢を作って気がつくと孤立したりしてしまことがよくあります。

 そういう人々は「他人を気にする」人にはなかなか見えない苦しみを持っているのかもしれません。

 他人を気にしてしまう人は、気にするというストレスはありますが、その用心深さに救われているところは実はとても多いものです。

 とくに均質的な相互監視プレッシャーの強い日本では、ある程度「他人を気にする」力はあった方がいいでしょう。まずそこを過小評価しないことが大事だと思います。
 
「他人を気にする」度合いは、個人の性格の傾向に加えて、その時の自分の状況にもよるでしょう。

 誰しも人生が順調な時は、自信があり心に余裕があるので、他人の目を気にせずに我が道を歩める傾向が強くなります。
 しかし、ひとたび順調のサイクルが終わり、逆境のサイクル入ると、物事のとらえ方はネガティブな傾向が強まり、そこで「他者の目を気にする」傾向も強まります。

 そのためにも得意淡然・失意泰然の姿勢を普段から持っておくことが大事だと思います。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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