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業界をザワつかせた話題の映画『さよならテレビ』ラストでわかる”テレビって結局…”

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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ラリー遠田:作家・ライター/お笑い評論家dot.#ラリー遠田
話題の映画『さよならテレビ』(C)東海テレビ放送

話題の映画『さよならテレビ』(C)東海テレビ放送

 1月2日に公開された映画『さよならテレビ』が密かに話題になっている。本作はもともと名古屋のローカル局である東海テレビが制作するテレビ番組として放送されたものだ。オンエアされてから、その内容はテレビ業界内で大反響を巻き起こし、番組を録画したDVDが業界関係者の間で流通していたという。今回その番組に新たなシーンが加えられ、映画として全国公開されることになった。

 東海テレビ制作の『さよならテレビ』は、自社の報道部にカメラを向けた異色のドキュメンタリーである。報道の名のもとにさまざまな取材対象者にカメラを向けてきたはずのテレビ制作者たちは、いざ自分たちが撮影される立場になると、あからさまに戸惑い、怒り、抵抗を見せた。本作では、そんな彼らの姿を映すことを通して、テレビの現場の空気感を生々しく伝えている。

『さよならテレビ』ではスポットを当てている主役級の人物が3人いる。局の看板番組を担当する男性アナウンサー、契約社員のベテラン記者、派遣社員の新人記者の3人だ。

 アナウンサーは、スタッフからもっと番組内で自分の意見を言うことを求められているが、なかなかそれに応えることができず、当たり障りのない話に終始してしまう。ベテラン記者は青臭いジャーナリズムを振りかざし、社会問題を積極的に取り上げようとするが、思うようにいかないことも多い。新人記者は見るからに頼りない人物で、ミスを連発して上司に怒られてばかりいる。派遣社員という不安定な立場に置かれているため、結果を出そうと焦るあまり、さらに致命的な問題を起こしてしまう。

 テレビ局を「マスゴミ」などと批判する人は、その中に悪意をもって悪事を働く「悪者」がいるはずだという漠然としたイメージを持っているかもしれない。だが、本作にはそのような分かりやすい悪者の姿はなかった。

 報道部のフロアには、上からの理不尽な要求や命令に苦しみ、日々の仕事をこなすことだけで精一杯のサラリーマンがいるだけだ。彼らが考えていることや悩んでいることの中身は、一般企業のサラリーマンとさほど変わらないだろう。


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