【実例:2歳/41歳ママ】
■赤ちゃんの<活動限界>を知り、「お布団に置けば寝る」子になった
「うちの子は寝たと思ったら1~2時間後には起きてしまっていました。助産師さんからは『お昼寝のときに一緒に寝てしまえばいいですよ』と言われましたが、お昼寝しているときは家事をしたい。あと、私は赤ちゃんの寝返りでも目が覚めてしまうタイプでお昼寝のときに睡眠時間を確保するなんてことはできませんでした」

 このままの生活ではからだがもたない。仕事に復帰することを目標に据えていたため、ツイッターやネットで<夜泣き><夜泣き 対応>の文字を打ち込みうつろな気分で検索していた。

「森田先生に相談して知ったのですがうちの子は寝言泣きというのをしていました。目はつぶっているけど泣いている。つまり、寝ているのですが私はその寝言にも起きてしまっていて、幻聴で泣き声が聞こえて夜が怖いとすら思うようになっていました」

 泣き声の幻聴まで体験し、自分自身の睡眠の大事さを痛感した。そして、森田先生の最初のカウンセリングで寝ぐずり前に寝ることできるようになり眠くなりすぎているサインがわかるようになったそう。

「森田先生からは子どもが寝ないで活動できる限界の時間である<活動限界>という言葉を教えてもらい、寝ぐずりする前にお布団に連れて行くようにしました。夫にも<活動限界>というキーワードを教えて『あ、もう活動限界だから寝かさなきゃね』と協力してくれるようになりました」

 この<活動限界>を知ったことで、「お布団に置けば寝る」ように。

「小さい子どもにもきちんと寝ることを認識する力が備わっていて、だんだんここは寝る場所というのがわかってくるんですね。生後7カ月のときに、自分でハイハイでお布団まで行ってお布団の端っこのところまではたどりつけて、そのままひとりで寝ていたことがあったんです。子どもの寝る力を引き出すことはできるんだなと思いましたし、親が子どもに対する初めての教えだと思いました」

 ひとりでハイハイしてパタンと寝ついてしまうなんてなんともかわいい光景だが、赤ちゃんの寝る力を引き出すのはとても大切なこと。

 森田先生も言う「ねんねトレーニングは親のサポートなしに、赤ちゃんにひとりで寝つくスキルをつけるためのトレーニング。歯みがきなどと同じ教育であり、一生のプレゼントなのです」と。赤ちゃんは寝かしつけるのではなく、寝る力を備えさせてあげることだったのだ。

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森田麻里子

森田麻里子

森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産し、19年9月より昭和大学病院附属東病院睡眠医療センターにて非常勤勤務。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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