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高血圧患者の医師が警告 サイレントキラーの恐ろしさと改善策

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北條元治dot.#ヘルス#病気
※写真はイメージです(GettyImages)

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 気温が低い朝晩と日中の気温差が激しくなってきました。このような時期になると気になるのが高血圧です。心臓の動きや血管の収縮には自律神経が関わるため、暖かいオフィスから寒い屋外に出ると心臓も血管もキュッと縮まって血圧が上がりやすい。寒暖差が激しい環境では血圧が乱高下し、結果として心筋梗塞などや脳卒中、心室細動による心臓突然死などのリスクを高めるので注意が必要です。

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 国内ではおよそ4300万人が高血圧患者と推計されています。日本はみそやしょうゆ、塩蔵品など、塩を用いた調味料や保存食が伝統的に食されているため、諸外国と比較して高血圧の患者さんが多いといえます。すでに健診などで「高血圧」と指摘された人もいるでしょう。実は私も高血圧患者です。

■自覚症状が乏しい高血圧

 みなさんは、高血圧をサイレントキラー(静かなる殺し屋)と称するのをご存じですか。高血圧状態が続くと心筋梗塞や脳卒中などで命に関わるけれども、高血圧そのものは自覚症状に乏しい。サイレントの高血圧が病気を引き起こしてキラーになる。そんな意味が込められています。

 私が自身の高血圧に気づいたのも、まさに偶然でした。40代半ばのある日、職場で血圧測定をしたら上の血圧(収縮期血圧)が、220ミリメートルHg以上だったのです。日本高血圧学会の治療ガイドラインでは、140ミリメートルHg以上が高血圧であり、180ミリメートルHg以上は薬による治療をすぐに開始するようなレベル。最初は血圧計が壊れているのかと思いました。でも再度測っても220ミリメートルHg以上。血圧計の異常ではなく私の血圧異常。これには驚きました。

 職場でカーッとして興奮したようなときには一時的に血圧が急上昇します。顔を真っ赤にして怒っているようなときには、普段は正常血圧の人でも血圧は上がります。あのときの私は、普段通りに過ごしていました。何の前触れも症状もなく高血圧になっていたのです。まさにサイレント。

 高血圧は塩分のとり過ぎや肥満など、生活習慣との関係が深いといえます。確かに当時の私は塩分を気にしませんでしたが、肥満体形ではなく、健診でも生活習慣病を指摘されたことはありませんでした。だから、ある日突然の高血圧に、とてもショックを受けたのです。

 高血圧の改善は、減塩と野菜をふんだんに加えたバランスのよい食事、適度な運動が基本です。過度なストレスもよくありません。当時、運動を疎かにしていたので、慌ててスポーツジムに通って減塩にも取り組みました。血圧が正常に戻ることを願う気持ちで、1週間毎日、血圧測定をしましたが、220ミリメートルHg以上のままで、変わりませんでした。

 私の場合、祖父と父が高血圧で、食生活よりも遺伝的な要因が強かったのです。食生活の改善後も高血圧状態が続いたので、迷うことなく、専門医の診察を受けて薬による治療を開始しました。医師の指示に従い薬を飲み続けて、今は130~140ミリメートルHg台にコントロールできています。220ミリメートルHg以上になることはありません。薬を活用しつつ減塩や運動といった生活の見直しも継続中です。

■心疾患や脳疾患の要因にも

 世の中には、「高血圧は放置してもよい」という人もいます。でも、私はサイレントキラーを甘く見てはいけないと思っています。国内死因の第2位の心疾患や第4位の脳血管疾患のように、血管に関わる病気と高血圧の関係は深いからです。でもサイレントゆえに、国内約4300万人の高血圧の人のうち、きちんと治療をしている人は約1200万人にとどまるそうです。

 高血圧を含む生活習慣病は、無症状で進行します。2型糖尿病もしかりです。早朝空腹時血糖値126ミリグラム/dL以上、あるいは、ヘモグロビンA1cが6.5%以上は2型糖尿病になります。しかし、健診でそれらを上回る値が出ても自覚症状はありません。高血圧と同様にサイレントで、もちろん、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病のリスクは高く、2型糖尿病もサイレントキラーの仲間なのです。

 2型糖尿病が強く疑われる人については、医療機関の受診率が7割を超え、糖尿病予備軍も減少傾向が見られるようになっています。2型糖尿病は、失明の原因となる網膜症、足の壊疽(えそ)などにつながる神経障害、腎不全のリスクが高まる腎症といった合併症は一般的にも広く知られるようになりました。かつては、これらの合併症を発症して、初めて2型糖尿病に気づく人もいたそうです。今はそういったことは減り、治療薬もよくなったことで2型糖尿病でも長生きをする人が増えています。

 2008年から導入された特定健診も、早い段階で2型糖尿病のリスクを知る後押しをしています。結果として、受診率の向上につながりました。サイレントキラーは早めに見つけて対処すれば、キラーに変貌させずに済みます。でも、高血圧に関しては、サイレントキラーを野放し状態にしている人が、依然として多いようです。

 比較的若い世代では、高血圧などの生活習慣病は「まだ関係ない」と思い、比較的年齢が上の世代には、「生活習慣を変えるのが面倒」と思う方がいるでしょう。

 現在の私の運動習慣は、週4日のジョギングと週2~3日のウェートトレーニングです。10キロを55分程度で走ります。以前は水泳でしたが、水着に着替えるなどの制約があるため、今はジョギングをメインにしています。出張のときもカバンの中にジョギングシューズを入れて待っていき、海外では初めて見る風景を楽しみながら走っています。ジョギングは、マイペースで取り組めるのも魅力です。みなさんも、楽しい運動習慣を身につけて食生活を正し、サイレントキラーを撃退してはいかがでしょうか。

○北條元治(ほうじょう・もとはる)/ 株式会社セルバンク代表取締役、RDクリニック顧問、東海大学医学部非常勤講師、形成外科医、医学博士。1964年、長野県生まれ。91年、弘前大学医学部卒業。信州大学医学部附属病院勤務を経て、ペンシルベニア大学医学部で培養皮膚を研究。帰国後、東海大学医学部にて同研究と熱傷治療に従事。2004年、細胞保管や再生医療技術支援を行なう株式会社セルバンク設立。05年、RDクリニック開設に際し、培養皮膚の特許を取得。著書に『医者が家族だけにはすすめないこと』『美肌のために必要なこと』他多数。


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