つまり現在のヤクルトの外国人選手獲得は、まずはこの奥村氏の“眼力”にかかっているといっても過言ではない。その奥村氏は、今年も夏場には今後の新外国人獲得に備えて渡米し、現地で2カ月近く視察を行った。

「基本的には(マイナーリーグの)AAAの選手を探しに行っているっていうのはずっと変わらないです。その(獲得可能な)中で、一番良い選手を獲るっていうことですね」

 今年からヤクルトでプレーしているマクガフも、2015年にマーリンズでメジャーを経験しているものの、昨年はまさにAAA級で投げていた選手。獲得の決め手となったのは──。

「彼は向こうで98マイル(約158キロ)出してたんですけど、そういうピッチャーってほとんど(球が)高めに行くんですよ。だから、『160キロ投げます』っていう触れ込みで日本に来たピッチャーって、だいたい高めに外れてフォアボールを出して、痛打されてっていうパターンが多いんです。でも、彼の場合はボールが低かった。157キロ、158キロ出すピッチャーで、球が低めに行くっていうのはなかなかいないんですよ」

 来日1年目の今シーズン、そのマクガフは中継ぎに、抑えにチーム3位の65試合に登板して6勝3敗11セーブ、18ホールド、防御率3.15を記録。正捕手の中村悠平が「大崩れしないというか、フォアボールで自滅するタイプじゃない」と評していたように独り相撲を取るようなシーンはあまり見られず、シーズンを通して打たれたホームランも2本だけと、奥村氏の眼力を証明した形になった。

 ただし、良い選手なら誰でもいいというわけではない。重要なのは「チームのニーズにマッチしているかどうか」。要は監督が使いたくなる選手かどうか、ということだ。

「いくら良い選手だからって(首脳陣の)思惑と全然違う選手を獲ってきても仕方ないので、(チームに)足りないところ、足りないポジションとか役割の中で一番良い選手ということですね。監督が使ってくれなかったら成績は残せないですから」

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助っ人がヤクルトで活躍できるもう一つの理由