これらの駅は駅名に「空港」の文字を含むことで空港駅としてのアピールに成功しているともいえるが、空港の最寄り駅でありながら、そうと知らなければ見落としてしまいそうな駅もある。

 山口県内を走るJR宇部線の「草江駅」は、山口宇部空港の目の前にあるといっても差しつかえのない駅で、「空港通り」と呼ばれる山口県道220号を挟んだ向かい側が空港の敷地で、ターミナルビルまではおよそ600メートルと徒歩圏内に位置する。しかし、空港利用者の大半が自家用車を利用していることや、積極的に利用案内をしてこなかったこともあり、空港駅としての存在感が極めて薄い空港最寄り駅なのであった。

 現在では山口宇部空港の公式案内にも表示されるなど、徐々に空港連絡駅としての存在感を示すようになってきた。駅周辺はのどかな住宅地といった風情で、およそ空港とは結びつかないロケーションだが、見方を変えれば意外性に富んだユニークな駅ともいえるのではないだろうか。空港もいろいろなら空港駅もいろいろ。そんな目線でこうした駅を探訪してみるのも面白いかもしれない。(文/植村誠)

○植村 誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話 韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。