学生時代から抱いていた夢の舞台への挑戦。一度は封印したつもりの思いが、日本代表チアになったことで再燃。断固たる決意は誰にも止められなかった。

 これまで築き上げてきたものを、文字通り、投げうっての挑戦である。本田をここまで惹きつけるチアの魅力はどこにあるのだろう。

「もちろんゲームでパフォーマンスをやること自体も楽しい。チア、スタンドのファンの応援が一体化しチームが勝利するのは、何ものにも変えられない。でもそれまでの過程も含め、すべてが自分自身を充実させてくれる。普段の練習やトレーニングは本当にタフですが、それをみんなで乗り越えた先にゲームでのパフォーマンスがある。そういったものすべてを含めた一体感が好き」

 チアとしての日常すべてに刺激される。その場一瞬に全力を注げることが、大きなモチベーションにもなっている。

「もちろん年齢が気にならないといえば嘘になる。今年は上から2番目だし、昨年は最年長だった。新しい振り付けを覚えた後は、疲れも抜けにくい。パフォーマンスが落ちれば、当然、必要ともされなくなる。でもそれを不安に感じてもしょうがないし、やることをやるだけ」

 年齢という『数字』は常につきまとってくる。現実はシビアでもあるが、心揺れている暇はない。目の前のことに没頭して前に進むだけだ。

「今年、合格して入ってきた中に、40代の人がいる。以前チームにいたけど結婚して子供を産んで、またオーディションを受けて帰ってきた。その気持ちがすごいし周囲のサポート状況も素晴らしい。そこには日米の価値観の違いもある。アメリカでは結婚して子供を産もうが、自分のやりたいことをやるという考えの人が多いように思う。そういった考え方を誰もが尊重する。だから20代の早い段階で結婚している人もいるし、旦那さんもシーズンチケットを購入して奥さんのパフォーマンスを見にくる。いわば最高のファン、サポーター。彼女のことを、心から誇りに思っている」

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「収入など生活的には厳しい状況」