みんなが気づく直前にピックアップし、とにかくスピード重視で打ち出していく。そこにはこの上なく鮮度が求められるが、それを可能にしたのがSNSの発達だと力説する。

「僕のモノマネはツイッターなり、インスタグラムなりなしには成立しません。SNSは『今だ!』という時に、いつでもすぐに発信できる。そこで皆さんに『僕、これやりましたよ!』と瞬時にお伝えできる即時性。これに助けられています」

 あとは、その攻めたモノマネを面白がる芸人仲間が多数いること。芸人がメディアや口コミでモノマネの面白さを伝えていく。これも、RGのモノマネが多くの人に広まっていく大きな要素でもあるが、この裏にあるのはRGの人間性と仕事への姿勢。

 テレビ朝日系「アメトーーク!」で“RG大好き芸人”が企画されるほど、芸人仲間から愛される存在でもあるが、僕の知る限り、RGのことを悪く言う芸人に会ったことがない。むしろ、ケンドーコバヤシ、小籔千豊ら「RGのためなら」とサポートを買って出る先輩芸人は枚挙にいとまがない。

■天龍源一郎からも認められた

 お笑い以外でも、モノマネをきっかけに細川からは「浮ついた気持ちでやってるんじゃないことがよく分かった」と弟子として迎え入れられ、2006年から参戦していたプロレス団体「ハッスル」時代にはシングルマッチで対戦した天龍源一郎から認められ、控室で天龍の横の席がRGの指定席になるほどだった。

 天龍のチョップで胸の皮膚が切れて出血するような厳しい攻撃を受けても臆することなく立ち向かい、天龍の顔面に張り手を見舞う。度胸を見せつけ、天龍から「片足ツッコんでるんじゃなく、本気でプロレスをやっている。だからこそ敬意を持って、潰しにいったんだ」と最大の賛辞も引き出すほど真摯にプロレスと向き合った結果だった。

 さらに、天龍からは今も心の軸となる仕事の極意も教わった。

「天龍さんはどんな地方の大会でも絶対に手を抜かない。常に全力で戦う。その天龍イズムを叩きこんでもらって、じゃ、それを自分の領域で表すとすると、どうなるのか。地方の営業でネタをする時も、なんなら飲み屋さんで居合わせたお客さんにネタをふられた時も、ありきたりのネタをするのではなく新ネタを考えて入れ込むようにする。そして、ノドが枯れるくらい声を振り絞るようにしています」

 ともすれば安易にも思われかねないモノマネが上滑りせずに愛される理由、それはこの部分に集約されている。

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中西正男

中西正男

芸能記者。1974年、大阪府生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当として、故桂米朝さんのインタビューなどお笑いを中心に取材にあたる。取材を通じて若手からベテランまで広く芸人との付き合いがある。2012年に同社を退社し、井上公造氏の事務所「KOZOクリエイターズ」に所属。「上沼・高田のクギズケ!」「す・またん!」(読売テレビ)、「キャッチ!」(中京テレビ)、「旬感LIVE とれたてっ!」(関西テレビ)、「松井愛のすこ~し愛して♡」(MBSラジオ)、「ウラのウラまで浦川です」(ABCラジオ)などに出演中。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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