このほか、総武本線と常磐線とを結ぶ新金貨物線(小岩~金町間)をはじめ、純粋に貨物列車のみが走る貨物線も多い。注意して車窓を眺めていると名前も行き先も知らないような線路が分岐して行くのを目にしている人も多いではないだろうか。

 すでにこうした貨物線を楽しもうという動きも出ている。クラブツーリズムでは、JR東日本のお座敷列車「宴」を使った貸し切りのツアー列車を運行。初回は600人を超えるキャンセル待ちが発生、「鉄旅オブザイヤー2017」でグランプリを獲得するなど人気は高く、2019年12月7日には22回目の貨物線ツアーが実施されるほどである。同様のツアーは他の旅行会社でも催されている。

 未知の路線を行く「貨物線の旅」とは、鉄道をより楽しむための可能性を秘めた、押さえておきたい1ジャンルなのである。(文/植村 誠)

○植村誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。