湘南新宿ラインや埼京線が走る山手貨物線。現在は旅客列車がメインに走っている(写真/photolibrary)
湘南新宿ラインや埼京線が走る山手貨物線。現在は旅客列車がメインに走っている(写真/photolibrary)
「定期旅客列車の走る貨物線(首都圏)」
「定期旅客列車の走る貨物線(首都圏)」
戸塚~東戸塚間の東海道貨物線を走る215系の「湘南ライナー」。この列車は横浜駅を経由しない。(写真/photolibrary)
戸塚~東戸塚間の東海道貨物線を走る215系の「湘南ライナー」。この列車は横浜駅を経由しない。(写真/photolibrary)

「貨物線」をご存じだろうか? 山手線などのように旅客列車が主体となって走る路線とは異なり、おもに貨物列車の運行に用いられている路線群を指す。かつて貨物線は文字通り貨物列車のみが走る専用線だったが、近年では旅客列車の緩急分離などにより、貨物線を旅客列車が走るケースも珍しくなくなってきた。これらの旅客列車が走る貨物線を見てみよう。

【「普段と違う角度で景色を楽しむ」首都圏で定期旅客列車が走る貨物線一覧】

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■貨物線を走る旅客列車は今やポピュラーな存在?

 2019年11月30日から運行開始を予定しているのが、相模鉄道とJR東日本との相互直通運転だ。これは相鉄本線の西谷駅とJR東海道貨物線の横浜羽沢駅とを結ぶ約2.7キロメートルの連絡線が新設され、直通運転が可能になった旅客列車の新ルートである。そう、JR東海道貨物線とあるとおり、貨物線を経由した運行なのである。今回開業する新ルートは大半が地下構造。そのため相鉄・JR双方から乗ってくると、「トンネル」を境に異なるエリアに飛び出したことを実感することになりそうだ。

 こうした旅客列車の走る貨物線は決して少なくなく、全国でお目にかかることができる。 首都圏の貨物線では、現在6線区に定期旅客列車が運行中だ。

 このうち、山手貨物線は山手線と並行している路線で、この路線を生かして運行されているのが湘南新宿ラインや埼京線である。

 かつては貨物列車の運行をメインに、団体専用列車や臨時旅客列車などが運行されてきたが、1986年3月に埼京線電車が乗り入れを開始して以降は旅客線としての役割がメインとなった。山手貨物線と品川で接続するのが品鶴線で、同じく湘南新宿ラインや横須賀線が通るメインルートとなっている。

■空港連絡鉄道に転用するプランも浮上

 東海道貨物線は、浜松町~小田原間(浜松町~東京貨物ターミナル間は休止中)を結ぶ貨物線で、旅客列車は鶴見~小田原間を走る。相鉄・JR直通運転の要ともなる路線で、鶴見~東戸塚間は横浜駅を迂回(うかい)するようなルートで東海道本線をバイパスしているのが特徴といえるだろう。

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車窓は旅客線ルートと大きく異なる