「磯野家」の超高齢化問題 「サザエさん」の声優交代は国民的命題か? (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「磯野家」の超高齢化問題 「サザエさん」の声優交代は国民的命題か?

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宝泉薫dot.
「サザエさん通り」(福岡市早良区 )のキャラクターシルエット像 (c)朝日新聞社

「サザエさん通り」(福岡市早良区 )のキャラクターシルエット像 (c)朝日新聞社

 98年には、2代目「磯野カツオ」の高橋和枝が収録中に病気で倒れ、降板。翌年、70歳で亡くなると、葬儀では初代「磯野波平」の永井一郎が、

「カツオ、親より先に行く奴があるか」

 と呼びかけ、話題になった。その永井も、14年に82歳で病死。葬儀では、3代目「カツオ」の冨永みーなが、

「父さん、大好きです。もっといっぱい一緒にお風呂に入りたかった。もっとしかられたかった」

 と、語りかけた。波平が車の運転をしないことから、自分も運転をやめてしまうほど役に同化してきた永井は、亡くなる4日前まで、元気に収録をこなしていたという。

 それだけに、俄然注目されたのが初代「磯野舟」の麻生美代子だ。永井より5歳上で、09年には病気で休んだこともあり、もしもの事態が危惧されるようになった。そして翌15年、89歳で降板。ただし「麻生の年齢を考慮して制作スタッフが決めたもの」という説明から、本人はまだまだ続ける気だったのではとも想像された。

 実際、麻生は「和風総本家」のナレーションについてはその3年後まで担当。そのため、2代目「舟」の寺内よりえは損をした気がする。先代が他の番組で「サザエさん」での「日本のお母さん」的イメージそのままに健在ぶりを示すことで、寺内の違和感が割り増しになってしまった感があるのだ。初代「マスオ」の近石真介が「いい旅・夢気分」のナレーションをしていたときにも思ったものだが、長年ファンの耳に馴染んだ声優の交代はとかく難しい。

■国民的アニメの存続に関わる大命題

 だが、これまでの交代はこれから訪れるかもしれないそれに比べたらまだ容易だろう。初代、というより、唯一無二の存在というべき「フグ田サザエ」役の加藤みどりは、今年の11月で80歳を迎える。彼女にもしもの事態が起きたとき、どうするのかは、国民的アニメの存続に関わる大命題にも思われるのだ。

 加藤のすごさは、同じ日曜夜(8時台)に12年から始まった「大改造!!劇的ビフォーアフター」(現在は不定期放送)の大ヒットからもわかる。朝日放送のスタッフは「日曜夜の声」として長年親しまれていることから、ナレーションを依頼したのだろう。「ビフォーアフター」ということばが新語・流行語大賞に選ばれた際、彼女が授賞式に出席したのも、その成功に彼女の影響力が大きく働いていたことの証しといえる。


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