観光列車が変える鉄道と地域の未来 岐阜・長良川鉄道の挑戦 (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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観光列車が変える鉄道と地域の未来 岐阜・長良川鉄道の挑戦

松原一己dot.#鉄道
長良川沿いの絶景路線を走る長良川鉄道の観光列車「ながら」(PIXTA)

長良川沿いの絶景路線を走る長良川鉄道の観光列車「ながら」(PIXTA)

テーブルを挟んで2人席と4人席が設けられた「鮎号」の車内。カーテンで仕切ることもできる。(C)朝日新聞社

テーブルを挟んで2人席と4人席が設けられた「鮎号」の車内。カーテンで仕切ることもできる。(C)朝日新聞社

ボックス席の中央にテーブルを備えた「森号」の車内(撮影/松原一己)

ボックス席の中央にテーブルを備えた「森号」の車内(撮影/松原一己)

独立したロングシートとした「川風号」。食堂車として使用する時は脱着式のテーブルを床に設置する(撮影/松原一己)

独立したロングシートとした「川風号」。食堂車として使用する時は脱着式のテーブルを床に設置する(撮影/松原一己)

 そんな中、観光列車の構想が持ち上がる。もちろん、「遠くからのお客さんに乗って楽しんでいただきたい」というストレートな思いはあったに違いないが、それよりももっと大きな視点での益を図っての観光列車構想だったという。

 長良川鉄道専務の坂本桂二氏は、「胸を張って自分の故郷を誇れるように、鉄道を通じて貢献したかった」と観光列車を投入した意図を語る。故郷を出ていった人たちが、「わが故郷にはこんなすてきな観光列車が走っている」と誇りに思った地元愛を周囲に発信してくれれば、関係人口、交流人口の増加をもたらしてくれるかもしれない。さらに純粋に列車に乗りに来た人は、長良川鉄道に加え、この地域の良さを知ってくれるだろう……という発想である。

 しかし、ただでさえ毎年赤字が避けられない実情の中で、向こう見ずにプロジェクトを立ち上げて、さらに大きな負債を抱えて経営を圧迫することは許されない。

「この構想に大きな力を注いでくれたのが、水戸岡鋭治さんなのです」

 水戸岡鋭治氏とは、JR九州で数々の鉄道車両や駅舎などを手掛けた鉄道デザインの第一人者。クルーズトレイン「ななつ星in九州」はその集大成とも言える列車である。一方で、地方ローカル線の厳しい経営状況や取り巻く環境をよく理解している。

「車両の改造だけでなく、車内で提供する料理なども含んだトータルプロデュースを請け負ってくれました」

■2両編成の「ながら」の登場

「全部まとめて6000万円でお願いします」。これが観光列車「ながら」にかけられる予算だった。2両編成の改造+プロデュースの費用として高いと感じるかもしれないが、JR西日本の2両編成の観光列車「みすゞ潮彩」は8000万円、同じく「花嫁のれん」はそれを上回る改造費と言われており、6000万円というのはかなり抑えた予算なのである。

「こちらの予算に応えてくれた水戸岡さんの、ローカル線を応援する熱い思いを感じました」

 この金額のうち、総務省の地域経済循環創造事業交付金が70%(4200万円)で、残る1800万円は借入金である。決して小さな金額ではないので、当初は5年計画で返済することを目標としたそうだ。

 こうして既存のナガラ300形ディーゼルカー2両を改造した「ながら」が完成し、2016年4月27日に運転を開始した。1号車は「森号」で、中央にテーブルを配したボックス席とカウンター席、ソファー席が38席並ぶ。2号車は「鮎号」で、簡易個室的にカーテンで仕切ることができるテーブル席とカウンター席が25席ある。


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