イチロー(左)とヘルナンデス(右) (c)朝日新聞社
イチロー(左)とヘルナンデス(右) (c)朝日新聞社

 今年3月に日本での開幕戦を最後に、日米でカリスマ的人気を誇ったイチローがユニフォームを脱いだ。メジャーでは計19年間プレーし、ルーキーイヤーを含め14シーズンを過ごしたのがマリナーズだ。

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 個人としては、数々の金字塔を打ち立てたイチローだったが、マリナーズでは1年目を除いてはプレーオフには進めず、いわばチームの“暗黒期”を経験。そして、当時イチローが「打」で低迷するチームをけん引する一方、「投」で孤軍奮闘していたのが“キング”ことフェリックス・ヘルナンデスだった。

 イチローがシーズン最多安打の新記録を樹立したのが2004年。その翌年の2005年に若手有望株としてデビューを果たしたヘルナンデス(当時19歳)は、メジャー2年目から頭角を現し、チームトップの12勝(14敗)を挙げると、早くもエースとしての地位を築いた。

 2010年には勝利数が13勝(12敗)にとどまったものの、防御率2.27、232奪三振をマークし、サイ・ヤング賞を受賞。その後は2012年に完全試合を達成し、2015年には20代にして6度目のオールスターに選出されるなど、押しも押されぬメジャーを代表する投手となった。

 だが、30歳となった2016年シーズンから度重なるケガもあり成績が下降。2017年には8年連続の2ケタ勝利が途切れ、防御率も4.36と不本意なシーズンとなった。昨年も8勝14敗で防御率は5.55まで悪化するなど、若返りを進めるチームの中で崖っぷちの状態となってしまっているのが現状だ。今年を最後に2013年に結んだ長期契約が切れることから、今季のパフォーマンス次第でチームを去る可能性も十分に考えられる。

 事実、マリナーズの地元紙シアトル・タイムズも、イチローとともにチームを長年支えたヘルナンデスの状況を憂慮。シーズン開幕前の3月18日に「心は痛まない? マリナーズはイチロー、フェリックス・ヘルナンデスと別れるチャレンジに直面」とのタイトルで記事を掲載していた。

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今年もこれまで苦しむヘルナンデス