――やはり井上が有利としても、パワーと経験ゆえにドネアを見限るべきではないということですね。

エドワーズ:はい、私も井上が勝つと予想しています。ノニトがスローダウンしていることを考えれば、70-30くらいで井上が有利でしょう。ただ、井上は確かに特別な選手ですが、誰でもダメージを受けるときはあるし、倒されることはある。ノニトのパンチを受けた際、井上がどんな反応をするのかに興味があります。

――ドネア以外にもバンタム級にはゾラニ・テテ(南アフリカ)、ルイス・ネリ(メキシコ)、ライアン・バーネット(イギリス)といった強豪がいます。打倒・井上の可能性が最も高いと感じる選手は誰ですか?

エドワーズ:バンタム級と限定した場合、井上を相手に“勝てる”と自信を持って送り出せる選手はいません。スーパーフライ級から上げてきた場合のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ/WBC世界スーパーフライ級王者)が面白いとは思いますが、サイズ面で井上にアドバンテージがあります。井上にはスーパーバンタム、フェザー級でも戦っていけるだけのフィジカルの強さがあるように見えますからね。他には……うーん、バンタム級、スーパーバンタム級では誰と戦っても井上がかなり優位でしょう。あえて井上に対して大きな勝機がある選手を挙げるなら、フェザー級のシャクール・スティーブンソン(アメリカ/22歳/12戦全勝(7KO))のような選手ではないでしょうか。

――リオ五輪銀メダリストの実績があり、右ジャブも鋭いサウスポーのスティーブンソンは確かに難敵になりそうですね。今後、井上はどこまで階級を上げていけると思いますか?

エドワーズ:現状ではっきりとは言えませんが、ボディタイプ的にフェザー級よりさらに上は厳しいかもしれません。フェザー級リミットは126パウンドですが、その階級の選手たちは普段は144~145パウンドくらいで動き回っています。バンタム級の選手と比べ、パワー、耐久力はかなり変わってきます。井上よりも大柄なノニトにとっても、やはりフェザー級が限界でした。そこまで上げた場合、さすがの井上も対戦相手を慎重に選ぶ必要が出てくるでしょう。(文・杉浦大介)