好投報われずプロ2敗目を喫した川崎は「ノーヒットのことは考えていなかったけど、時間が経つにつれて、悔しい思いが膨らんできます」と残念そう。

 川崎は同13日の広島戦(広島)でも、8回を6安打3失点に抑え、同点の9回にパリッシュの2点タイムリーで勝ち越した直後、降雨コールドで9回の2点が幻と消えてしまい、またしてもプロ初勝利はお預け。度重なる不運に「残念どころじゃないっすよ。ホント、頭にくるなあ」と大荒れだった。

 川崎が被安打1敗戦に泣いた26日後、もう一人、不運な男が現れた。日本ハムの左腕・河野博文である。

 89年8月31日のロッテ戦(東京ドーム)、河野は1回、先頭打者の西村徳文に左前安打を許したあと、送りバントで1死二塁のピンチを招くが、3番・愛甲猛を二ゴロ、4番・ディアズを三振に打ち取り、無失点で切り抜ける。そして、2回以降は1本も安打を許すことなく、9回まで被安打1で完投したが、この投球内容にもかかわらず、負け投手になってしまった……。

 悔やまれるのは、0対0で迎えた9回。先頭の西村に四球を与え、佐藤健一の二ゴロで二進を許したが、1死二塁で次打者・愛甲は一ゴロ。打球を処理したファースト・大島康徳が一塁ベースカバーの河野に送球する。ここまでは良かった。

 ところが、二塁走者・西村の俊足を警戒した河野は、捕球後の三塁けん制を焦り、落球してしまう。これを見た西村は「しめた!」とばかりに一気にホームインした。

 その裏、日本ハムは2死から4番・ブリューワが四球で出塁したが、イースラーが三振でゲームセット。園川一美にわずか3安打に抑えられ、0対1で敗れた。

 開幕以来0勝4敗とすっかり勝ち運に見放されている河野は「今季最高の投球だったのに……。今季の僕を象徴している試合ですね」とガックリ。スミ1安打の完投負けは、75年5月5日の村田兆治(ロッテ)以来、史上2人目の珍事だった。結局、河野は悪い流れを変えられないまま、0勝6敗でシーズンを終えている。

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本塁打が認められずも本人は上機嫌