転職サイトの『エン転職』は、青い着ぐるみ姿で“Mr.エン”に扮したバカリズムと松岡茉優が「転職は慎重に。」というキャッチコピーのもと、転職や仕事について語らうシリーズCMを放送。「働き方改革」をテーマにした作品ではふたりが「“働く”を悪者にしないでくださいね」「働くって大切ですもんね」とストレートに視聴者に語りかけた。

 日本コカ・コーラ『ジョージア』は2014年から「世界は誰かの仕事でできている。」というコピーのもと、山田孝之がさまざまな職業人を演じるシリーズCMを継続している。さらに今年1月からは「だから私は、がんばれる。」というメッセージで、仕事のやりがいを原動力に頑張る人々を描くCMシリーズを展開。シリーズ1作目は山田孝之や染谷将太が「頑張るってもう古いのかもな……」とつぶやくも、「そんなことないぜ!」「頑張るでしょ!達成感のためなら」などとさまざまな職業の人々が頑張る理由を笑顔で語る姿をリレーして伝え、山田らが再び奮起する内容だ。CM好感度調査(2019年2月度)のモニターからは「仕事を頑張ろうと思うCM」「登場人物のセリフに共感できる」「仕事のやりがいを考えさせられるCM」といった感想が寄せられた。

 長時間労働を推奨するつもりはまったくないが、こうした働くことの原点やモチベーションを描くCMや視聴者からの反響を見ていると「頑張りたい」と考えている人は決して少なくないように感じる。その気持ちを“効率化”という言葉で縛りつけるのは本末転倒だ。仕事を楽しむことでパフォーマンスを最大化させることが、実は本来の働き方改革への一番の近道ではないだろうか。“仕事とプライベート”の二項対立だけでなく、“効率化と達成感”の両立も実現するのは難しいと思われがちだが、そもそもワークライフバランスとは会社や上司に決めてもらうものではない。制度や風潮にただ乗じるのではなく、一人ひとりが主体的に「自分にとっての働く意味」を考えるべき時期に来ているようだ。

●CM総合研究所/1984年設立。「好感は行動の前提」をテーマに、生活者の「好き」のメカニズム解明に挑戦し続けている。平成元年から毎月実施しているCM好感度調査をもとに、テレビCMを通じて消費者マインドの動きを観測・分析しているほか、広告主である企業へダイレクトにコンサルティングを行い、広告効果の最大化および経済活性化の一助となることを目指す。