田村耕太郎さん
田村耕太郎さん

高圧的な言い方は命取り(※イメージ写真)
高圧的な言い方は命取り(※イメージ写真)

「アホとは戦うな。時間の無駄である」と提唱する、元政治家であり、現在はシンガポール・リークアンユー政治大学院で教鞭を執る田村耕太郎さん。しかし、シリーズ75万部を突破した著書『頭に来てもアホとは戦うな!』の読者からは、「それでも戦ってしまう……」と多くの悩みの声が寄せられているという。

 日々の仕事・暮らしの中で「アホ」に悩んでいるあなたに、ちょっとでも気持ちが楽になるヒントを田村さんが提案する連載「アホから解放される相談室」。今回は「繊細すぎて面倒くさいアホ」について。

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【相談】30代女性です。職場に傷つきやすい同僚がいて、仕事がやりにくくて仕方がありません。

 先日、事務的なメールを打ったところ、冷たいととられたのか、「怒られているように感じる」といわれてしまいました。その他、終始怯えているような雰囲気を感じられ、まるでこちらが悪いことをしているようです。 実は無意識に私が威圧的なのでしょうか。

 田村さんが、こうした繊細アホに接するときに心がけていることを教えていただけますでしょうか。

■高圧的な物言いは許されない大ハラスメント時代

 実は私自身も、高圧的な態度によって他人様や自分の子供に失礼をし、気分を害させてしまったことがあります。「情熱」とか「家族ぐるみの付き合い」とかを言い訳に、なれなれしく、頭を使わない物言いをしていたのです。

 そこを反省し、何とか許してもらうことで、近年ようやく少しずつましになってきたという程度なので、今回の解答については、読む人によっては「おまえが言うか」と思われるかもしれません。

 私は、海外の職場で多くの失敗をしてきました。「多様性がある職場」なんて陳腐な表現がアホらしくなるくらいの、“純ジャパ”がスーパーマイノリティーの環境で 、私の初期の言動は組織から厳しく注意されたのです。

 例えば、私の仕事のピークに豪快に休みを取るアシスタントさんたちに、叱咤激励するつもりで熱く話したことがありました。

 すると、その内容と行動に、「これ以上繰り返したら問題になる」と組織からきついクレームがきたのです。組織の中で、特に自分を支えてくれる相手が気分を害するような指示の仕方は許されないということでした。

 いかに内容に筋が取っており正しくても、上から目線の物言いや相手の気分を害するようなジョークは許されません。当然、文化的・宗教的背景に触れるようなジョークは、オフィス内はおろか飲食の機会でもNGです。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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