しかし、昼夜逆転しがちで何日も風呂に入らなかったり、主食は買いだめしたインスタント麺だったり、共通の話題も見えてくる。特に「これを知らなきゃひきこもりじゃない、というぐらい爆発的人気」(池井多さん)となっている日本アニメがあるらしい。それは、ひきこもりを題材にしたマンガ『NHKにようこそ!』(「月刊少年エース」で2004年から連載)のアニメ版で、07年から英語、中国語、フランス語などおよそ6カ語に翻訳され海外で公開され、担当者によると「原作とともに、特に欧米で人気がある」という。

「イタリアは2年前、フランスでは昨年、大手メディアが国内のひきこもりについて報じ『ひきこもり元年』と呼べる変化がありました。その後、イタリアでは翌年に関係者が集まる全国大会が初めて開かれ、家族による誤解や社会からの偏見などが議論されたそうです。いわゆる“引き出し屋”に関する議論も行われているそうで、日本が数年前に経験してきたような状況になっています」

 約20年前に家族会の全国組織ができ、いまや国が実態把握を進めガイドラインをつくる日本の現状は、課題はあれど“先進的”とも言えるだろう。日本の社会がひきこもり問題とどう向き合うのか、世界が注目している。(AERA dot.編集部・金城珠代)