「若い選手が今までにないような活躍をどんどんすることが一番のJリーグ活性化になりますね。欧州なんかはすでに選手を売ることが1つの商売になっているので、『この選手を何年後にはステップアップさせるため、いつから試合に出して、育てる」というビジョンをクラブが明確に持っている。僕がいたスタンダールやメス、ストラスブールもそうでした。Jもそのサイクルが早くなった分、対応策を急いで講じなきゃいけない。それは確かでしょう。

 同時にリーグのレベルを上げる努力も必要。大暉が『少し寄せが足りないだけでクロスを上げられてゴールに直結してしまうということをコパで痛感した。海外に出ていなきゃいけないって言っている選手が多い理由も分かった気がしました』と話していたと聞きましたけど、Jリーグでも当たり前にそういうことを経験できる環境にならないといけないと僕は思います。まだまだ問題は沢山あるけど、これだけ可能性のあるリーグもそうそうない。そこは自信を持っていいと僕は言いたいです」

 Jリーグや日本サッカーを取り巻く環境は日々変化しているが、それも刺激にしながら、川島はさらなる向上に努めていくつもりだ。同い年の今野泰幸が7月にG大阪から磐田へ移籍した際、「最低でも45歳までは現役を続けたい」と話していたが、川島も「自分がワクワクし続けられる限りはピッチに立ちたい」と熱望する。

「正直、長くやることにそんなに固執してないですけど、自分が高みを目指そうと思える限りは挑戦していたい。ワクワクして興奮することに対して挑んでいきたいという気持ちが強いんです。欧州では昨季限りでペトル・チェフやアリエン・ロッベンといった同世代の選手が引退しましたけど、『いい時に辞めて次の人生を踏み出したい』という考え方が向こうでは強い気がします。実際、30代になると『そこまで価値のある選手ではない』と欧州では見られがちですから。それでもマコ(長谷部誠)や(本田)圭佑、オカ(岡崎慎司)、(長友)佑都、(香川)真司なんかは30代になってもどんどん前へ前へ突き進んでいる。そういうチャレンジはもしかしたら日本人にしかできないのかもしれない。僕もその1人ですけどね(笑)」

 果たして36歳の日本人ベテラン守護神は意地と誇り、類まれな向上心をフランスリーグ1部で示せるのか。彼自身のキャリアを左右すると言っても過言ではない重要なシーズンがいよいよ幕を開ける。(文・元川悦子)