■清水エスパルス D

 筆者は開幕前に一桁の順位を予想していた。本来のポテンシャルから考えれば前半の戦いはE評価でもおかしくないが、ヤン・ヨンソン前監督から篠田善之監督に代わり、今季もっとも不足していた球際で戦うところや失点後の切り替えといったメンタル面は改善されたようで、本来期待されたポジションに向けて浮上していく可能性はある。ただ、前監督はチームの成長を考えながら戦術を構築していた向きもあり、短期的な結果ではないものを篠田監督がどれだけ積み上げていけるかは未知数だ。ただ、降格してしまっては元も子もないので、その意味でシーズンのターニングポイントになる決断だったことは間違いない。ドウグラスが復調して来たことで、北川航也との2トップを中心に攻撃のベクトルが安定してきていることもプラス材料だが、攻撃のバリエーションが課題にあることは変わらない。

■ジュビロ磐田 E

 名波前監督が自らの決断で辞任したことはショッキングだが、17試合で3勝という成績を考えれば、監督交代そのものは致し方ない部分もある。劇的な勝利を飾ることもあるが、戦い方が全く安定せず、悪いボールの失い方をしては守護神カミンスキーやセンターバックがいきなり晒されるシーンが続出した。途中からロングボールを多用し、ロドリゲスとアダイウトンの縦の突破に頼る攻撃に活路を見出したものの、付け焼き刃感は否めなかった。主力を担うべき選手の怪我が目立ったことも確かだが、海千山千の監督が揃うJ1において、戦術面の構築が拙すぎた面はある。DF出身の鈴木秀人監督がそこをどれだけ改善できるかは未知数だが、ボールを大事にしながらタイミングよく攻撃の人数をかけていく意識は初陣の鹿島戦でも見られた。ただ、新体制で初勝利となった松本戦でも見られたように、最後はロドリゲスの飛び出しに頼らざるを得ない状況は変わっておらず、着実に巻き返すには、夏の補強も含めて、さらにテコ入れが必要かもしれない。

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リスクと隣り合わせの“風間サッカー”