磐田の名波前監督 (c)朝日新聞社
磐田の名波前監督 (c)朝日新聞社

 早いもので、2019シーズンのJリーグも折り返し地点を通過した。前半戦では戦前の下馬評をいい意味で裏切ったチーム、逆に期待外れとなっているチーム、おおむね想定通りに勝ち星を重ねてきたチームもある。そこで今回は、Jリーグをつぶさに「うぉっち」している河治良幸氏がJ1全クラブを中間査定(良い方からA・B・C・D・Eの五段階)し、3日間にわけて紹介する。

【写真】“アウトレイジ”大槻監督の手腕は…J1全18チーム中間査定その1

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■横浜F・マリノス B

 昨年からのベースを継続しながら2位につけている結果を純粋に評価すればAに値するが、チームのポテンシャルと伸びしろへの期待も込めてBとした。興味深いのは攻撃的なスタイルを貫きながら、1点差で負けた試合が第15節の清水戦しかないということ。その清水戦はマルコス・ジュニオールの退場という不測の事態が災いした。それだけ接戦に強い理由は終盤まで強度を落とさずゴールを狙いながら、ボランチの喜田拓也を中心にバランスよく守れていること。ポステコグルー監督の投入する交代選手が与えられた役割をしっかりとこなして、勝利につなげられていることだ。その一方で負けた試合は前半からリズムが良くなく、そのまま失点を積み重ねてしまう傾向があり、優勝まで狙うなら改善するべきポイントだろう。中盤から攻撃をオーガナイズしていた天野純のベルギー移籍は少なからず影響してもおかしくないが、怪我から復帰した扇原貴宏が奮起すれば埋めることは可能。あとはマルコス・ジュニオールやエジガル・ジュニオが好調をシーズン通して持続できるかどうかも鍵だが、コパ・アメリカのメンバーから漏れた遠藤渓太がパフォーマンスを上げており、そのコパで世界を驚かせた三好康児にも刺激を与えるなど、良い競争が良いパフォーマンスを生んでいく期待は高い。

■湘南ベルマーレ C

 コレクティブにフルタイム戦い抜くサッカーは今シーズンもJ1でも目立っているが、1点差で落とした試合が5試合あり、後半の失点の多さは要改善のポイントだ。ただ、主力級の齊藤未月と鈴木冬一をU-20W杯で、杉岡大暉をコパ・アメリカで欠くなど、難しい状況で出た選手が奮起し、選手層を厚くしてきたことは後半戦で生きてきそう。また国際経験を積んだ三人のパフォーマンスにも期待だ。チーム最多得点が武富孝介の5得点で、頼れるエースがいないことは上位を狙う上でネックになる部分ではある。ただ、ハードワークを生命線にする曹貴裁監督のスタイルで、決定力のためにプレッシングや連動を引き出すポストプレーなどを疎かにすることはできない。その意味でも、ここまで前線で存在感を発揮しながら2得点しか取れていない山崎凌吾の奮起が躍進の鍵を握りそう。リーグ戦の評価でCとしたが、前回王者として臨んだルヴァン杯の敗退は残念だった。

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磐田は名波監督が突然の辞任…