年俸の高さも大きなネックになっている。岡崎の昨季の年俸は推定4億5000万円と見られ、Jリーグクラブや欧州中堅クラブでは到底支払える額ではない。岡崎の存在価値が大きいドイツにしても、それを捻出できるのは一部の数チームだろう。昨季は推定年俸約2億円と言われた本田、同6億円と推定される香川にしてもこの難題は深刻だ。年俸を下げて行きたい環境に行くのか、高額オファーを出してくれるクラブを辛抱強く待つのか。そこは本当に思案のしどころである。

 契約をあと1年残すドルトムントから事実上の戦力外通告を受けている香川はまさにそこで悩んでいるのではないか。すでにドルトムントは新シーズンに向けて始動しているものの、行き場のない彼は日本国内で自主トレに励みながら、活躍の場が決まるのを待っている状況だ。報道ではスペインのベティス、トルコのガラタサライなどの名前が挙がっているが、やはり年俸など条件面で折り合っていない様子。かつてマンチェスター・ユナイテッドの名将、アレックス・ファーガソン監督から実力を認められた経験のある日本最高のスター選手でも、現実はやはり甘くないのだ。

「30歳になって、欧州での見られ方も含めて、いろんな現実を知りました。特にドルトムントでは若い選手の勢いや自信を強く感じたし、クラブとしても未来を掲げながら育成含めてやっていく中で、やっぱり30歳の選手に対してはシビアだった。でも自分はそれを受け入れるつもりはない。『僕はもうダメなのか』という気持ちでやってるようじゃ生き残っていけない」と香川は6月のキリンチャレンジカップ2連戦に帯同した際に30代の悲哀を吐露したが、“若手至上主義”が加速している昨今の移籍市場を考えれば、彼の立場が苦しくなるのは当然のことかもしれない。

 長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)のように、流れに抗うような圧倒的パフォーマンスを示せればいいが、香川は2019年1月から半年間過ごしたベシクタシュでは思惑通りには行かなかった。

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それでも川島、長谷部という前例もある