「大切なペットと避難するためにまずやるべきこと」 防災士で獣医師の提言

2019/07/12 08:00

災害時のペットとの避難について話す杉村さん
災害時のペットとの避難について話す杉村さん
西日本豪雨の際に岡山県倉敷市が開設したペット同伴避難所の様子(2018年9月、杉村さん提供)
西日本豪雨の際に岡山県倉敷市が開設したペット同伴避難所の様子(2018年9月、杉村さん提供)
西日本豪雨で被災した倉敷市真備町の様子。浸水した家屋の窓や床、内壁が外されている(2018年9月、杉村さん提供)
西日本豪雨で被災した倉敷市真備町の様子。浸水した家屋の窓や床、内壁が外されている(2018年9月、杉村さん提供)

 2011年の東日本大震災で、多くのペットが、放浪したり、行方不明になったりしたことで、環境省のガイドラインなどでは、飼い主は災害時に自宅などから避難する場合、ペットと同行避難するよう呼びかけている。

【写真】西日本豪雨の際に岡山県倉敷市が開設したペット同伴避難所の様子

 しかし、ペットと同行避難したとしても、今度はどこで過ごすのか、という問題が出てくる。16年の熊本地震では、多くの被災者がペットと同行避難したが、避難所でペットと生活することができず、エコノミークラス症候群になる可能性がある車中泊をしたり、倒壊の恐れがある自宅へ戻ったりするケースが見られた。そうなると、ペットはもちろん、飼い主の命も危険にさらされることになる。

 地震や台風などの災害時に、大切なペットとスムーズに避難するためにはどうすればよいのか。兵庫・淡路島で動物の耳に特化した「どうぶつ耳科専門クリニック主(しゅ)の枝」(兵庫県洲本市)を営み、防災士の資格も持つ獣医師、杉村肇さん(60)は「ペットと飼い主の命を守るために、普段から取り組んでほしいことがある」と話す。

 杉村さんは、1995年の阪神・淡路大震災で、神戸市の実家が半壊。動物病院を開業していた淡路島からフェリーで西宮市にわたり、実家にいた母親をバイクに乗せて、明石市まで避難した。その後は震源地の淡路島北部で、徳島の建築士らと土木調査を行うなど、災害支援にかかわった。

 さらに98年、研修先のアメリカで動物介在療法(アニマルセラピー)の現場を視察して以来、災害時も含めて、ペットと人が良い関係を築くにはどうすればよいかについて考えるようになった。そして、2015~16年に兵庫県が行う「ひょうご防災リーダー講座」を受講し、防災士の資格を取得。16年11月には、兵庫県南あわじ市で行われたペットとの同行避難訓練に参加した。

 杉村さんによると、阪神・淡路大震災の時は、ビニールハウスの中にケージを積み、犬や猫を保護していたという。「当時は現場も混乱していてあまり問題になりませんでしたが、衛生面などで不安があります。現在は、ペットに対する考え方もかなり変わってきています。このような避難所を敬遠し、車中泊や危険な状態の自宅に戻ることを選ぶ飼い主も出てくるでしょう」

 さらに、前述した東日本大震災や熊本地震などでの状況を踏まえて、同伴避難所の重要性を訴える。「最初から同伴避難が可能であれば、車中泊や、倒壊危険家屋に残る方も少なくなる。放浪動物も少なくなり、救護や(保護した動物を収容する)シェルターの運営にかかる維持費や人手もかからなくなります。何より、飼い主さんと一緒にいれば、ペットのストレスも少ないです」

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