その後の代表活動でも、3月のコロンビア戦(横浜)では山口蛍、ボリビア戦(神戸)では橋本拳人(FC東京)、6月のトリニダード・トバゴ戦(豊田)では守田英正(川崎)、エルサルバドル戦では再び橋本とつねに連携を組む相手が変わっていて、落ち着いてコンビを熟成させられる状況にはなっていない。そういう中でも、柴崎自身は「誰とやっても同じレベルのパフォーマンスを出せるようにしなければいけない」という意識を強めている。

「組む選手によって自分のスタイルを微調整しなければいけない部分もありますし、チームがうまく機能するために考えなきゃいけない部分ではある。公式戦本番でも経験の浅い選手とも組むことはケガ等で想定されるので、そういったことを意識して、どうなってもいいような気持ちで準備はしています」と6月のキリンチャレンジカップ期間にも語っていたが、コパアメリカではよりそう仕向けていこうという意欲を押し出している。

 ウルグアイ戦に出た板倉は「ディフェンスの前で自分がバランスを取って、岳君がその1個前でボールをさばきながら前進していくという役割がハッキリしていたのでやりやすかった」と柴崎と組む効果を口にしていた。序盤は不安定さを垣間見せた彼が徐々に本来の落ち着きを取り戻したのも、柴崎の的確なコントロールとサポートがあってこそ。このように相棒を育て、自分自身の成長を目指すというのは、まさに長谷部が2015年からの3年間、取り組んできたことに他ならない。

「チリ戦、ウルグアイ戦を体験した人が何を感じるかというのは、あの年代(五輪世代)にとって大きな財産になる。それを大事にしてほしいと思っています。僕らの年代でコパアメリカに来ることはなかったのでホントにうらやましい。2日3日で代わるもんじゃないですけど、変わってほしいし、伸びて行ってほしい」とウルグアイ戦後に若手への要望を口にしたのも、強い自覚の表れに違いない。

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真の長谷部誠的リーダーなれるか?