サッカー日本代表の柴崎岳 (c)朝日新聞社
サッカー日本代表の柴崎岳 (c)朝日新聞社

 三好康児(横浜)の2ゴールで2度のリードを奪いながら、不可解なVAR判定によるルイス・スアレス(バルセロナ)のPKとCKからのホセ・ヒメネス(アトレチコ)のヘッドで追いつかれ、2-2のドローに終わった20日の2019年コパアメリカ・ウルグアイ戦(ポルトアレグレ)。日本としては「勝てた試合を引き分けた」という思いが強いだろう。ただ、相手の猛攻を受けて耐え忍んだ終盤を考えると、勝ち点1は「御の字」という見方もできる。いずれにしても、24日のグループ最終戦・エクアドル戦(ベロオリゾンテ)に8強入りを賭けることになったのは間違いない。

 17日の初戦・チリ戦(サンパウロ)の0-4大敗からいち早く立ち直れたのは、川島永嗣(ストラスブール)、岡崎慎司(レスター)、柴崎岳(ヘタフェ)という経験豊富な2018年ロシアワールドカップ組がセンターラインを形成し、チームを確実にコントロールしたことが非常に大きい。

 とりわけ、2戦連続フル出場の柴崎の働きは目を見張るものがあった。ボランチのパートナーが試合ごとに変わる中、相棒をサポートし、空いたスペースを埋め、ボールを奪われた時のファーストディフェンダーとしての鋭さを披露。さらには攻撃の起点となる多彩なパス出しでも存在を示した。前半25分の三好の先制点につながる巧みなサイドチェンジを出したのも、背番号7をつける男だった。

「幅を使って自分たちのボールにする時間を増やそうと思っていた」と本人も話したが、ワイドに展開することでウルグアイ守備陣にスペースが生まれることを理解していたうえでの配球だったのは確か。このワンシーンに象徴される通り、柴崎は世界的評価を上げた1年前のロシアの時に近いキレと躍動感、高度な戦術眼を取り戻した印象だ。

 コパアメリカという大舞台でキャプテンを任されるほど森保一監督から絶対的信頼を寄せられる27歳のボランチは、1年後の2020年東京五輪のオーバーエージ枠筆頭とも位置付けられている。これだけ強固な絆が2人にあるのだから、柴崎と同じボランチとして東京五輪を目指している本田圭佑(メルボルン)も、彼らの間に割って入るのは容易ではなさそうだ。

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なかなか世代交代が進まなかったボランチ