田村耕太郎さん
田村耕太郎さん
ピリピリしている限り、人はついてこない ※写真はイメージです
ピリピリしている限り、人はついてこない ※写真はイメージです

「アホとは戦うな。時間の無駄である」と提唱する、元政治家であり、現在はシンガポール・リークアンユー政治大学院で教鞭を執る田村耕太郎さん。しかし、シリーズ75万部を突破した著書『頭に来てもアホとは戦うな!』の読者からは、「それでも戦ってしまう……」と多くの悩みの声が寄せられているという。日々の仕事・暮らしの中で「アホ」に悩んでいるあなたに、ちょっとでも気持ちが楽になるヒントを田村さんが提案する連載「アホから解放される相談室」。今回は「部下のミスにイラだってしまう」ことについて。

*  *  *

【相談】
 最近、部下が仕事でミスをしました。なんとか怒鳴るのはこらえたのですが、「なぜそんなことをしたのか」「なぜ事前に相談しなかったのか」と、部下の顔を見るたびにイライラが止まりません。
もともと自分はピリピリしやすい人間性であると自覚しています。部下の失敗におおらかに対処したり、感情を一定保ったりするにはどうしたらいいのでしょうか。

■部下は自分の鏡

 私が一番影響を受けた言葉は「It’s not the end of the world」という言葉です。これは世界のリーダーがよく使う言葉です。この言葉に何度救われたか。

 われわれ日本人は「この世の終わり」のように、どうでもいいことにプレシャーを受けて育ち、知らない間に同僚や後輩にそのプレッシャーを与え続けているのです。

 致命的な失敗なんて、ほとんどが全然致命的でもなんでもないのです。何か失敗や失態を見られた、と思っていても、相手は自分が思うほど気にしていないというか、見てくれていません。「穴が開くほど恥ずかしい」と思うことなんか誰も何とも思っていないことがほとんどです。
 
 私自身、じつは昔はミスが許せないタイプの人間でしたが、最近は全くカリカリしなくなり、私に対してミスを犯した人も笑顔でハグできます。
 
 そうすると、信じられないくらい相手の態度が変わります。昔のピリピリしていた自分なんて、自分が思うほど皆覚えてくれていないのです。青臭く対立した人もぼろくそに言ってしまった人も、こちらが思うほど暇ではないし、こちらが変われば多くの場合受け入れてくれるのです。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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