後半途中から入った伊東は「我慢してでもサコくん(大迫)の近くにいるようにした」と語るように、前半よりは2シャドーの伊東や南野が中央でボールを受けようとするポジショニングが増えたのは間違いないが、中島が下がったことで逆にワイドからの鋭い仕掛けがなくなり、やや迫力不足になったことも事実だ。

 4-2-3-1では中島、南野、堂安の3人が縦に速い攻撃の中でも近い距離感でコンビネーションと個人の仕掛けを織り交ぜることができたが、3-4-2-1で中島を起用する場合はもう一人のシャドーが右サイドから中央エリアをうまく活用して、中島をインサイドに誘導できる存在になれることが重要になる。

 久保は堂安と同じ左利きのアタッカーだが、同時にスペースを見ながらポジションを動かしていくセンスがあり、攻撃の司令塔的な役割も担える選手だ。FC東京でも右サイドを拠点としながら周りの状況を見てインサイドに入り、効果的にボールを捌くことでボランチやサイドバックの追い越す動きを引き出し、FWのポストプレーを受けて、タメを作ってスルーパスを出すといったプレーを見せている。

 攻撃のバリエーションをもたらす能力で言えば、A代表でもすでに香川に次ぐ実力を持っているかもしれない。それでいて、機を見てドリブル突破からフィニッシュまで攻撃を完結させることもできるので、中島への相手ディフェンスの警戒を分散させる効果も期待できる。

 中島はトリニダード・トバゴ戦の前に、FC東京U-23のチームメートでもあった久保と同時にピッチに立つことについて「今までなかったような感じのサッカーにはなると思いますし、見ていてくれる人が楽しめるような、自分たちがやっても満足して、すごく楽しくサッカーできればいい結果が生まれると思います」と語っていた。この時は3-4-2-1の2シャドーを想定したものではなかったかもしれないが、2シャドーは4-2-3-1の両サイドハーフ以上に2人の関係性が問われるので、両者が並び立てば面白いコンビが誕生する期待は高まる。

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