カメラをマニュアル露出モードで使うときには、いわゆる露光ガイドに従うという方法もある。露出計の内蔵されていないフィルムカメラの時代には露出の参考となるようフィルムのパッケージに露光ガイドが印字されていた。現在でもフジカラー SUPERIA PREMIUM 400のようにフィルムによっては書かれているものもある。フィルムは感度が決まっているので、ISO100のフィルムなら「シャッター速度250分の1秒のときの絞り値」という名目で「快晴時の海・山:絞り値f/16」のように書かれている。

 また晴天の外での撮影などでは経験則として言い習わされている露出値もある。「日中はセンパチ」といい、晴れた日中の露出はISO400ならシャッター速度は1000分の1秒(セン)でf8(パチ)が適当というものや、「サニー16ルール」という、晴天時は絞りをf16にしてシャッター速度は感度分の1秒(ISO400なら、400分の1秒)に設定するといったものである。

 どちらも晴天を基準としているので、日陰ならここから2段明るく調整するといった具合だ。いずれにせよ、こういった基準となる露出をもとに自分なりの表現を加味した露出を決定することが大切だ。

■RAWで撮影、パソコンで修正

 デジタルカメラを使った撮影ではRAWデータで撮影しておけば後処理でどうとでも調整ができると思っている人もいるかと思われる。確かに現像ソフトの性能が上がっているので露出を多少変えても補正できる。ただあまり大幅な変更はノイズが増え、白トビ部分に関してはRAWデータでも救うのは難しい。できるだけ撮影時に適切な露出で撮っておき、若干の調整にとどめておきたい。(解説/吉澤隆史)

アサヒカメラ2019年6月号より抜粋