終着駅・留萌はかつて羽幌線と天塩炭礦鉄道(てしおたんこうてつどう=1967年廃止)も接続する一大ターミナルだったが、現在は広い構内に1~3番線ホームと中線の、合わせて4本のレールが残るだけ。朝の1本を除いて、列車はすべて駅舎に隣接した1番線に停まる。

 駅舎は“国鉄風”の横長の鉄筋コンクリート2階建て。ただし、1日平均乗車人員はわずか61人(2015年度)にすぎない。それでも立ち食いそば店が営業を続け、昼どきには乗降客以外の人たちがひっきりなしに訪れる。ニシンの甘露煮とカズノコがおかずの駅弁「にしんおやこ」(前日までの予約制)も販売されている。

 待合室のそばには「なつかしの留萌本線」コーナーも。留萌機関区に配置されたD61形SL関連の展示もある。D51形を改造した6両のみの形式で、1975年まで留萌本線・羽幌線のみの運行だった。

 かつて増毛・羽幌線方面へ延びていた線路は車止めで塞がれ、はるかに鉄橋跡が望めるばかり。高倉健主演の映画「駅 STATION」(1981年公開)の舞台だった旧増毛駅舎は2018年4月、開業時の姿に復元された。留萌駅の“これから”は、いまだ決まっていない。

■廃線までに“乗りたくとも乗れない”長期運休路線

日高本線鵡川~様似間・根室本線東鹿越~新得間

 日高本線鵡川~様似間116.0キロは2015年1月以降、高波、台風による路盤の流出などで不通が続き、鵡川~静内間・静内~様似間で代行バスの運行が続いている。JR北海道は18年6月17日、この区間を20年度中に廃止する意向を示した。18年11月には、沿線の7町が日高門別~様似間の廃止を容認したとの一部報道もあった。被害の少なかった鵡川~日高門別間20.8キロについては、地元の日高町などが「復旧は可能」として、再考を求めた。JR北海道は、同区間では「少なくとも38億円」の復旧費用以外に、年間維持費は3億2000万円との試算をまとめた。さらに日高門別駅の折り返し用施設整備に1億円かかるともされ、地元負担をめぐり折衝が続けられている。

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幾寅は映画「鉄道員」のロケ地