苦しい時を過ごしている中村俊輔 (c)朝日新聞社
苦しい時を過ごしている中村俊輔 (c)朝日新聞社

 久保建英(FC東京)筆頭に、若い世代の躍進が目覚ましい今季Jリーグ。それとは対照的に、ここまで長年、日本サッカーをけん引してきた大ベテランがピッチに立てなくなるケースが増えている。

 まず目につくのが、J1最年長の40歳・中村俊輔(磐田)の動向だろう。2月23日のJ1開幕・松本山雅戦はスタメンを飾ったものの、U−22日本代表候補の韋駄天・前田大然らに凄まじいハイプレスをかけられ、ボールを失う場面が目立ち、後半開始9分に交代。その後は3月17日のサガン鳥栖戦でラスト11分間プレーしただけで、ずっと試合に出ていない。18歳だった97年に横浜マリノス(現・横浜F・マリノス)でプロキャリアをスタートさせてから、ケガ以外でここまで出番がなくなったのは初めて。本人も苦しんでいるに違いない。

 同じジュビロ磐田に所属する36歳のJリーグ最多得点FW大久保嘉人も、開幕から7試合連続で先発に名を連ねたものの、4月下旬からは出たり出なかったりの苦境に陥っている。ここまでJ1通算184ゴールという驚異の数字を残し、今季は200点の大台達成もあり得ると見られていた偉大な点取り屋を取り巻く環境は厳しい情勢と言わざるを得ない。

 そしてもう1人、浦和レッズを長くけん引してきた37歳の阿部勇樹も今季は開幕からスタメンを外され、J1・11試合終了時点では8分間のみの出場にとどまっていた。単に試合に出られないだけでなく、ベンチ外も続き、16歳でJデビューを飾ってから20年以上トップを走り続けてきた守備職人もかつてない序列の低さに苦悩していたはずだ。5月17日の湘南ベルマーレ戦でようやく今季初のフル出場のチャンスが巡ってきたが、「世紀の大誤審」によってチームが混乱。リードを守れず逆転負けし、ベテランの存在価値を再認識させるには至らなかった。そこは彼自身も悔やまれるところだろう。

 他のビッグネームを見ても、39歳の遠藤保仁や36歳の今野泰幸(ともにガンバ大阪)が18日のセレッソ大阪との「大阪ダービー」で揃ってベンチスタートとなり、39歳の小野伸二(コンサドーレ札幌)も今季J1出場ゼロという状況だ。40歳近いJ1プレーヤーで圧倒的存在感を誇っているのは、2017・2018年J1連覇中の川崎フロンターレの大黒柱・中村憲剛くらい。やはり「35歳」というのは、Jのベテラン選手の大きな壁なのかもしれない。

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