二反田さんによると、19年4月現在、北は北海道から、南は福岡まで、全国14都道府県に約65台の自販機が設置されている。ジュースと同じような感覚で、手軽に買えるだし道楽は好評で、2018年は、60台前後で計約45万本売れた。広島県内に3台の自販機があった6年前の約15倍の売り上げだ。

 だし道楽のラインアップは4種類で、広島県外の自販機では、「焼きあご入り」と高知で獲れたメジカ(ソウダガツオ)から作った節を1本丸ごと入れた「宗田節入り」の2種類を販売(各700円)。広島県内の自販機では、限定で、あごと宗田節、昆布が入った「PREMIUM焼きあご・宗田節入り」(750円)とすっきりとした味わいの「昆布入り」(500円)も売られている。いずれも500ミリリットルのペットボトル入り、賞味期限は約190日だ。

 だし道楽を購入した人は、どのような使い方をしているのか。ツイッターをチェックしてみると、うどんや卵かけごはん、納豆はもちろん、お湯や氷水で割って飲む人もいた。二反田さんによると、甘めの濃縮タイプなので、和食だけでなく、パスタの隠し味など幅広い料理に使えるという。

 毎年涼しくなり、鍋物がおいしくなる12月から1、2月にかけて売れるそうだが、「今の時期は煮物や炊き込みご飯、おひたしなどタケノコを使った料理がおすすめです。暑くなってきたらそうめんのつけ汁にしてもいいですし、ジュレ状にしておしゃれな使い方もできます」(二反田さん)

 年々全国に広まり、現在も「地元に自販機を設置してほしい」という問い合わせが寄せられるだし道楽だが、意外と広島の製品だと知らない人も多いという。

「設置場所を問わないので、その土地その土地のお土産になっています。そこでしか手に入らないと思われていることも多く、札幌のメーカーだと思われていたこともありました」と二反田さん。それだけ、全国各地の風土にとけ込んでいるということなのか。外国人も購入するため、自販機には「Do not drink.」(飲まないでください)と書くようにしているという。

 二反田さんは 「今後はラインアップも増やしていきたい」と意気込む。最近は、ピザやスナック菓子が販売されている「だし道楽」と書かれた自販機がゲーム内の背景に登場し、話題となった。だし道楽の快進撃を見守りたい。(ライター・南文枝)