当時の主力だった山口蛍は「ディエゴもJ1にいた1年目はなかなかうまくいかなかったですけど、J2に落ちた2015年の半年間はうまくできていた。1人の選手だけでもそれだけかかるんだから、今みたいに沢山(大物外国人)がいるのはやっぱり簡単じゃない。アンドレスみたいにスーパーだとすんなり溶け込んでしまうけど、それ以外は僕らがみんなでサポートしていくことが大事」と苦い教訓をもとに、現状を分析していた。

 フォルランのようなビッグネームが1人入っただけでチームの方向性が大きく変わってしまうのに、ポドルスキとイニエスタ、ビジャ、サンペールにリージョ監督と世界的な知名度を誇る面々がズラリと並んだ今季の神戸のチーム作りの難しさは計り知れない。吉田監督の強調する「ハードワーク」や「攻守の切り替え」は世界のスタンダードではあるが、日本の場合はより俊敏性や緻密さが求められる傾向が強い。

 それは30代半ばになり、全盛期のパフォーマンスをコンスタントに出せないポドルスキやビジャ、イニエスタにはかなり厳しい点。実際、浦和戦のポドルスキを見ても、中盤でボールを受けてサイドチェンジを送るところまでは素晴らしいが、その後スプリントするシーンはほぼなし。データ上のスプリント回数も1回にとどまった。イニエスタは走行距離自体は松本山雅、広島戦ともに10キロメートルを超えていたが、やはりスプリント回数は少ない。そうなると、チームとしてスピーディーかつ推進力ある戦いがしづらくなってしまう。大物外国人選手は傑出した武器を備えている半面、マイナス面も抱えている。松本や湘南ベルマーレのようにそういうスキを突こうとするチームは少なくないだけに、神戸に難しさは付きまとうのだ。

 今後のカードも川崎フロンターレ、コンサドーレ札幌、鹿島アントラーズと難敵が続く。「今が一番の耐え時」と山口蛍も気を引き締めていたが、ここで結果が出ないようだと吉田監督も解任されてしまいかねない。そうやって指揮官がコロコロ変わっていたら、それこそ2014年のセレッソの二の舞になりかねない。三木谷浩史オーナーらクラブ運営側もしばらくの辛抱が必要なようだ。(文・元川悦子)